研究課題/領域番号 |
17K11590
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
別府 高明 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70275543)
|
研究分担者 |
寺崎 一典 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 准教授 (60285632)
藤原 俊朗 岩手医科大学, 医学部, 助教 (60405842)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 一酸化炭素中毒 / 大脳白質 / フリーラジカル / MRI |
研究実績の概要 |
一酸化炭素中毒(CO中毒)患者の急性期、亜急性期の大脳障害を定量評価し慢性期の神経障害と対比し、慢性期神経障害の予測に有用な検査を明らかにすることを目的とした。 急性期において、患者末梢血を用いて分光光度計によって血清中ヒドロキシペルオキシドを測定し酸化ストレスを定量。同時に血清三価鉄還元能を分光光度的に測定し抗酸化能を定量。最後に各症例の酸化ストレス・抗酸化能比 (酸化ストレス/抗酸化能)で評価。亜急性期にMRIによる両側大脳白質のfractional anisotropy (FA)値を測定。慢性期において、各症例の認知機能をminimal mental state examination (MMSE)で評価し、酸化ストレス/抗酸化能比およびFA値とMMSE値の差異や相関を解析した。さらに単変量、多変量解析により、各検査の予測能力について検討した。 認知障害症例と非認知障害症例の間では、、酸化ストレス/抗酸化能比およびFA値に有意な差異を認めた(酸化ストレス/抗酸化能比:認知障害で0.88±0.16、非認知障害で1.05±0.19、FA値:認知障害で0.55±0.24、非認知障害で0.75±0.17)。さらに、酸化ストレス/抗酸化能比およFA値とMMSEで中等度の相関を認めた。単変量解析、多変量解析で、、酸化ストレス/抗酸化能比およFA値は慢性期神経障害(認知障害)を有意に予測し得た。 CO中毒急性期において、酸素ストレスが強いほど、あるいは亜急性期の大脳白質FA値が低いほど慢性期認知障害が強く発生することが明らかかとなった。急性期の酸化ストレス/抗酸化能比の測定、亜急性期のFA値の測定は、CO中毒慢性期の認知障害発生の予測に有用であることを証明した。
|