研究課題/領域番号 |
17K11591
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
塩田 勝利 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40398516)
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研究分担者 |
舩田 正彦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 薬物依存研究部, 室長 (20299530)
岡田 剛史 自治医科大学, 医学部, 助教 (20742844)
西嶋 康一 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30198460)
岩村 樹憲 松山大学, 薬学部, 教授 (70184900)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | caffeine / 中毒 / risperidone / 救急医学 / 5-HT2A受容体 |
研究実績の概要 |
Caffeineはコーヒーなどに含まれ日常的に摂取している興奮性薬物で、高濃度のcaffeine入り飲料の流行や安価な海外製caffeine錠剤が容易に入手しやすくなり、本邦でもcaffeine中毒を呈する例が増加している。しかしcaffeine中毒に対しては対症療法しか存在しない。そこで我々はcaffeine中毒の薬物治療法を確立するため、caffeineによる高体温及び行動量増加をcaffeine中毒の指標として選択し、これらを抗精神病薬であるrisperidoneが抑制することを報告した。Risperidoneは様々なDA、5-HT受容体拮抗薬作用を有しているため、caffeine中毒の機序をさらに解明するため各種DA、5-HT受容体拮抗薬がcaffeineによる高体温や行動量増加を抑制するか実験を行った。 Wistar系雄性ラットの頸部皮下にNano Tagを埋め込み、体温及び行動量の測定を室温は24度の条件下で行った。5-HT2A受容体拮抗薬であるketanserinの前投与はcaffeineによる高体温及び運動量増加を有意に抑制した。しかし5-HT1A受容体拮抗薬であるWAY-100635はcaffeineによる高体温及び運動量増加を有意に増強した。DA1受容体拮抗薬であるSCH23390はcaffeineによる運動量増加には影響を与えなかったが、高体温を増強した。DA2受容体拮抗薬であるsulpirideはcaffeineによる高体温及び運動量増加に影響を与えなかった。 これらの結果からrisperidoneのcaffeineによる中毒症状に対する治療効果は5-HT2A受容体拮抗作用によるものと推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳内微小透析法が実験機材の関係で研究の遅延があるが、おおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床のcaffeine中毒症例はcaffeine単独で使用されることより、他の薬剤との併用で引き起こされることが多い。そのため今後の実験で抗うつ剤であるSSRIや近年国内でも使用が増加しつつある違法薬物であるcocaineとの併用でその毒性が増強されるか、また併用での中毒症状に対してもrisperidoneが有効か実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳内微小透析法の実験が現在実施できないため、その研究費を施行できなかった。施行できなかった金額は、主に次年度の脳内微小透析法の実験において使用予定である。
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