現在急性期の心機能低下および様々な要因で生じる生命維持に対しては経皮的心肺補助法が年間約7000例適用されているが送血手段としてロ-ラ-ポンプや遠心ポンプを採用しているため生理的拍動流の供給が困難であり治療成績も十分満足できるものではない、そこで我々は現行の補助循環回路に簡易電磁弁を装着し心電図同期により圧閉と開放を繰り返すことで生理的拍動流の供給が可能な装置を2006年に開発し、ラットおよびウサギを用いた動物実験により装置の安全性の評価と拍動効果の検証を行ってきた。 研究最終年度となる今年度においては成人での臨床使用を念頭に体重40kgのブタを用いて現行の定常流補助循環および定常流補助に拍動流発生装置を具備した拍動流補助循環をそれぞれ4時間施行しレ-ザ血流計を用いて右冠動脈領域と前下行枝領域および心尖部領域における心筋組織間流量の比較を行った。 結果いずれの領域においても拍動流補助循環が有意に高い値を示し血流増加が認められ補助循環の基本概念である拡張期圧の上昇効果が供与できているものと判断できさらに全行程おける装置の誤作動および不具合は認められず生体への侵襲である血漿遊離ヘモグロビン値は許容範囲内でありヘモグロビン尿などの肉眼的所見も認められなかった。 拍動流補助循環は血行動態を好転させ、冠動脈流血量を増加させる効果があり、生体に対する侵襲も許容範囲内であったことから拍動流補助循環は治療成績の改善に効果があると期待が持てる。
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