研究課題/領域番号 |
17K11611
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿部 真土 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (40448105)
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研究分担者 |
佐藤 淳 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (70335660)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | TRPS1 / 先天性疾患 / 関節軟骨 / 心臓 / 毛包 |
研究実績の概要 |
Tricho-rhino-phalangeal症候群(TRPS)は頭頚部の形態形成、毛髪や骨の関節の異常などを特徴的に伴う遺伝性の疾患である。TRPSの原因として多くの患者にTRPS1遺伝子の変異が見出されている。TRPS1遺伝子の発現制御領域における変異により、TRPS1の発現が低下したときにもTRPS様の表現型が出ることが考えられ、中にはそのような患者がいることが想定されている。ところが、TRPS1遺伝子の発現制御機構はほぼ分かっていない。申請者はこれまでに種を超えてよく保存されているTRPS1遺伝子座近くのゲノム領域に心臓・関節軟骨・毛包の発現エンハンサーが存在することをマウス個体レベルで見出し、これを報告した。しかし、TRPS1遺伝子は骨端軟骨成長板にも強い遺伝子発現が見られることが既に知られており、TRPSの特徴的な表現型として低身長が見られるが、軟骨成長板の発現エンハンサーはいまだに見いだせていない。本年度はTRPS1遺伝子の制御配列を含むと考えられたゲノム配列約3キロベースを欠失させたマウスを獲得した。CRISPR/Cas9法を用いてガイドRNAを受精卵にインジェクションする方法で行ったためモザイクである可能性が否定できないため、野生型マウスと交配し、その仔マウスの遺伝子型判定を行った。その結果、ヘテロ欠失仔マウスを複数得ることができた。さらにヘテロ雌雄マウスの交配からホモ欠失マウスを獲得し、現在Trps1遺伝子発現の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エンハンサー欠失マウスの系統を獲得し、解析を開始している。予備的な遺伝子発現解析では、一部の組織にTrps1遺伝子の発現が見られたが、さらに厳密に発生段階を追って確認していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はエンハンサーホモ欠失マウスの遺伝子発現解析を様々な発生段階で詳細に行う。心臓、関節、毛包における発現については特に注意して観察する。また、ホモ欠失マウスの表現型解析をスタートする予定である。通常のTrps1ノックアウトマウスは生後すぐに致死をきたすが、同様のことが起こるかまず確認を行う。今のところ仔マウスが効率よく得られていないので、ラインを限定してケージ数が増えすぎない工夫などしながら解析を続行する。 培養細胞を使用する実験系はガイドRNAのクローニングはすでにほぼ終わっているので、軟骨細胞株に計画的に導入を行っていく予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な試薬が輸入品となり当初予定していた入荷に間に合わなかったために、6115円の残額が発生した。この残額は購入予定の試薬の購入費にそのまま使用する予定である。
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