研究課題/領域番号 |
17K11618
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大貝 悠一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (40511259)
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研究分担者 |
松尾 美樹 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (20527048)
小松澤 均 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90253088)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯周病原因菌 / 生理活性ペプチド |
研究実績の概要 |
歯周病原因細菌のひとつであるAggregatibacter actinomycetemcomitansは様々な病原性因子を有し、歯周組織への定着や炎症の惹起を行っている。いくつかの病原性細菌において、10~30程度のアミノ酸からなる小分子ペプチドが新たな病原性因として提唱されてきている。しかしながら、このような短いペプチドをコードする遺伝子はゲノム配列が決定済みな細菌においても未同定なものが多い。本研究ではA. actinomycetemcomitans のペプチドに着目した病原性解析を目的としており、A. actinomycetemcomitans HK1651株のRNA-seq解析から短いペプチドをコードしうる小分子RNAの同定およびその機能推定を行った。結果、複数のコード領域を有する小分子RNAを同定した。その中から我々が高発現であると定義した小分子RNAにおいては既知の病原性因子と相同性を示すものは認められないが、低発現のものからはバクテリオシン様配列が認められた。また、当解析から、insertion sequenceが複数同定された、それらの中には転移活性を維持していると思われるものも認められた。転移活性が確認されたinsertion sequenceが得られた際には、A. actinomycetemcomitansのランダム挿入変異体ライブラリーの作成を行い、新たな病原性因子の同定を行う。上記の解析と並行してA. actinomycetemcomitans HK1651株の培養上清中のペプチド画分を用いて、ヒト上皮培養細胞の炎症性サイトカインを誘導する物質の同定を行った。しかしながら混入したLPS以外に細胞に刺激を加える因子の同定は現在までになされていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNA-seq解析からAggregatibacter actinomycetemcomitans HK1651株のsmall RNAにバクテリオシン様ペプチドをコードしうるものが含まれることが明らかとなった。また、他の歯周病原因菌のゲノム解析を行ったところTannerella forsythiaにおいても類似した新規バクテリオシン様配列を同定した。定量性PCRにより、該当する領域においてRNAは発現していることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
Aggregatibacter actinomycetemcomitansにおいては、バクテリオシン様ペプチド以外に機能の類推できるペプチドが得られていないため、Aggregatibacter actinomycetemcomitansの解析と並走して歯周病原因菌のひとつであるFusobacterium nucleatumにおいても新規ペプチドの分離・同定を行う。現在、本菌の臨床分離株のゲノム配列決定を行う準備えお進めている。
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