研究課題
基盤研究(C)
肺炎の主要な原因細菌は肺炎球菌や肺炎桿菌であるが、肺炎の検体から口腔内の歯周病原性菌の検出頻度が高いことが報告されている。本研究では、肺炎球菌感染における歯周病原細菌の役割を解明するために、歯周病原細菌の産生するヌクレアーゼに着目し、その機能解析と肺炎球菌の病態における相互作用を解明した。歯周病原細菌P. intermediaが高いヌクレアーゼ活性をもつこと、歯周病原細菌の培養上清が肺炎球菌のレセプターの発現を誘導し、肺炎球菌の宿主細胞への付着を増加させることを明らかにした。
口腔微生物学
口腔内細菌、特に歯周病原性細菌が肺炎検体から高頻度に分離されるが、肺炎の病態における影響は依然として不明である。本研究では、歯周病原細菌の産生する物質に着目して肺炎球菌感染に及ぼす影響を解析し、肺炎球菌の定着に歯周病原性細菌が関与することが示唆された。この研究成果は、肺炎球菌感染における歯周病原細菌の役割が示され、今後定着の阻害から予防法を確立する際の基礎的知見となると考えられる。