研究課題/領域番号 |
17K11629
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
山本 仁 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80265165)
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研究分担者 |
石川 昂 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (10772288)
北村 啓 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90792367)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多根歯 / 上皮性根間突起 / Hertwig上皮鞘 / ラット / 3次元構築 |
研究実績の概要 |
多根歯の形成にはHertwig上皮鞘が伸長してできる上皮性根間突起(EP)が中心的な役割を担っている。しかしHertwig上皮鞘がEPを形成する過程について三次元的に観察した報告はない。そこで多根歯形成過程におけるEPの動態を明らかにするため、ヒトと同じく髄下葉を形成するラットを用いて根分岐部の立体構築を行った。 生後3~18日齢のWistarラット各3匹を材料とし、上顎第二臼歯の多根形成過程を観察した。4%パラフォルムアルデヒド溶液による灌流固定後、上顎を摘出し浸漬固定を行い、KCXで脱灰後、通法に従ってパラフィン包埋し、厚さ5マイクロメートルの前頭断連続切片を作製した。すべての切片をH-E染色し、40倍で光学顕微鏡写真を撮影した。画像はImage Jによる二値化処理後、ITKsnapに単色で取込み、5枚おきにHertwig上皮鞘、EPを描出して立体構築を行った。 その結果、生後3日にHertwig上皮鞘は歯頸部から歯乳頭内部上方に向けて伸長し、EPの形成を開始している像が観察された。EPは4本形成され、それぞれは日齢と共に伸長するが、その成長速度には差があった。生後11日には成長したEPは歯乳頭中央部で互いに癒合したが、この間、EPの根尖側への成長は認めなかった。生後18日ではEPは根尖部に向かって伸長し、一部は断裂してMalassezの上皮遺残を形成していた。 以上の結果からEPは互いに癒合するまでの間、根尖部への成長を停止し歯乳頭内部へ伸長していることと、EPの成長速度には部位的な相違があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多根歯形成過程における上皮性根間突起の3次元的な動態を観察するため、各観察時期(生後3~18日)の試料数を増やしたため。また上皮性根間突起以外にも、象牙質根間突起と髄下葉を抽出して立体構築を行った。特に髄下葉の出現部位は試料により異なっていたため観察に細心の注意を払う必要があり、時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
観察対象である各期間(生後3~18日)の試料について上皮性根間突起、象牙質根間突起、髄下葉を抽出した3次元構築はほぼ終了し、データを纏めるところまで進んでいる。また上皮性根間突起の歯乳頭側への湾曲に関わると考えられる歯乳頭細胞の動態について、主に免疫組織化学により染色を行った。 上記データを慎重に解析した上て、論文としてまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの研究結果を英文論文としてまとめるので、その際の英文校正の一部に使用する予定である。
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