研究課題
口腔乾燥症の原因は自己免疫疾患であるシェーグレン症候群や他の唾液腺炎、服用している薬剤の副作用や加齢による唾液腺の萎縮などがある。口腔乾燥症は重篤な齲蝕や歯周炎などの歯科疾患のみならず、感染症や誤嚥性肺炎などを引き起こすことが知られている。本症の患者数は日本では800万人から3,000万人と推定されており、超高齢社会を迎えたわが国では高齢者のQOLを保つために口腔乾燥症の病態解明が重要課題であるが、その病態成立機序には未だ不明な点が多い。従来、唾液腺炎モデルマウスとして自己免疫疾患自然発症マウス、遺伝子改変マウスやT細胞移入マウスが用いられていたが、唾液腺以外の様々な臓器が傷害されるため唾液腺再生治療の効果を正確に評価するのが困難な事から、唾液腺組織特異的に傷害を生じる動物モデルが求められていた。本研究課題では、口腔乾燥症のモデルとしてToxin receptor-mediated cell knockout system (TRECK)法を用いた遺伝子改変により唾液腺特異的傷害モデルマウスを作出した。本マウスにジフテリア毒素(DT)を腹腔注射しピロカルピン刺激唾液分泌量を計測した結果、DT投与後168時間では約55%まで唾液分泌量が低下し、唾液分泌機能の低下が確認された。さらに唾液腺障害の程度をTUNELにより組織学的に検討した結果、野生型に比べてapoptosisの増加が確認された。これらの結果から唾液腺組織特異的傷害モデルマウスの作出が達成され、今後、この遺伝子改変マウスを利用して組織傷害や再生の詳細を検討する。
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http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/dental/kouza/byouri/originalpaper.html