研究課題/領域番号 |
17K11634
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
吉田 康夫 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (10315096)
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研究分担者 |
毛塚 雄一郎 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (50397163)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯周病 / Porphyromonas gingivalis / ATP |
研究実績の概要 |
歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisはグルコースのみを炭素源にした場合、ほとんど成長できず、主にアミノ酸やペプチドを炭素源に生命活動を維持している。この細菌のATPの産生は、アスパラギン酸やグルタミン酸を基質に短鎖脂肪酸を合成する経路から分岐する経路が関与することが予測されてきた。phsophoacetyl transferase(PTA)は無機リン酸存在下において、Acetyl-CoAからacetyl phosphateを産生し、その後acetate kinase(ACK)はacetyl phosphateとADPから酢酸とATPを産生する。本研究では、それらの酵素の精製酵素を作成し、酵素学的な性質を決定した。PTAのKmおよびkcat値は、0.072 ± 0.008 mMおよび1544 ± 109 s-1であった。この酵素の最適pHは9.0であった。一方、ACKのacetyl phosphateに対するKmおよびkcat値は、0.177 ± 0.051 mMおよび435.5 ± 32.2 s-1であり、ADP に対するKm およびkcat 値は、0.585 ± 0.19 mMおよび421 ± 160 s-1であった。ACKの最適pHは8.0であり、反応にMnおよびMgイオンが必要であった。これらの遺伝子は、Reversed Transcriptase-PCR法を用いた実験より、オペロンを形成しておらず、単独で転写されることが示唆された。また、これらの遺伝子はエリスロマイシンやカナマイシンなどの一般的な薬剤耐性遺伝子を使用する一般的な不活化できなかった。一方、予めプラスミドの形で遺伝子を導入したのちは、不活化できるので、必須遺伝子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目の研究計画に概ね則っており、問題ないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
ATP産生については、このタンパク質だけではないと考えられているが、その証拠がみつけられなかった。しかし、解糖系の酵素が存在し、一部にATPの産生に関与することが示唆されたものもある。今後、それらの酵素が実際Porphyromonas gingivalisの内部でどのように発現し、機能しているのかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由: 歯周病細菌による酪酸合成メカニズムの解析を行う過程で、予想外に複雑な遺伝子群が関与していることが明らかとなり、その解明を次年度に行う。
使用計画: 酪酸産生に関与する酵素の精製、酵素の基質、発色系に用いる試薬などに用いる。
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