研究課題
本研究課題の目的は、血圧上昇に関連したペプチドホルモンであるAngiotensin II (ANG II)が軟骨細胞の増殖・分化にどの様な影響を及ぼすのか、また軟骨細胞のanabolic因子であるcommunication network factor 2 (CCN2) とcatabolic因子であるmatrix metalloproteinase 9 (MMP9)の産生にANG IIがどの様に関わっているのかを明らかにすることである。令和元年度はラットの軟骨細胞様細胞株RCS を用いてANG II type 1受容体遺伝子(Agtr1)をゲノム編集技術によってノックアウトし、その表現型及びANG IIのCCN2及びMMP9の発現に対する影響を調べた。以下に結果を示す。1. Agtr1ノックアウトRCS細胞の細胞増殖は野生型のRCS細胞の細胞増殖と比較して有意に低下した。2. Agtr1ノックアウトRCS細胞のトルイジンブルーの染色性は野生型のRCS細胞のトルイジンブルー染色性よりも低下した。3. 軟骨細胞のマーカーであるII型コラーゲン及びアグリカンの遺伝子発現レベルは野生型とAgtr1ノックアウトRCS細胞との間で影響は見られなかった。4. 野生型のRCS細胞にANG IIを添加すると、CCN2の産生量は増加したが、Agtr1ノックアウトRCS細胞にANG IIを添加してもCCN2の産生量は増加しなかった。5. Agtr1ノックアウトRCS細胞のMMP9の産生量は野生型のRCS細胞よりも増加したが、Agtr1ノックアウトRCS細胞にANG IIを添加してもMMP9の産生量は変動しなかった。これらの結果からCCN2及びMMP9の産生制御を含めたANG IIの軟骨細胞への作用はANG II type 1受容体を介していることが示唆された。
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www.okayama-u.ac.jp/user/seika/index.html