研究課題/領域番号 |
17K11644
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浅野 智志 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 助教 (30570535)
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研究分担者 |
兼松 隆 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 教授 (10264053)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シスプラチン / アポトーシス / 乳癌 / PI3K / AKT |
研究実績の概要 |
ある種の扁平上皮癌細胞では、PI(3,4,5)P3関連経路 (PI3K-AKT経路)が活性化しており、これは癌細胞の抗癌剤への抵抗性とも関連している。最近、我々は、PLC-related catalytically inactive protein (PRIP) が新規の細胞膜 PI(3,4,5)P3 調節タンパク質であることを見出した。PRIPをノックダウンした癌細胞ではAKTの過剰な活性化が確認され、一方PRIPを過剰発現させるとAKTの活性化は抑制された。乳癌細胞株(MCF-7)は、白金錯体に分類される抗癌剤シスプラチンによるアポトーシス誘導に耐性がある。しかしPRIPを過剰発現させたMCF-7細胞は、比較的低濃度のシスプラチン添加によってもアポトーシスが誘導され、死滅することがわかった。これらの結果は、PI3K-AKT経路の活性化している癌細胞に対して、抗癌剤とPRIPを併用することが抗癌剤の副作用が少なく、耐性を獲得されにくい抗癌剤治療を実現させる可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PRIPのアポトーシス誘導に関わる研究を行い、がん治療薬開発研究も鋭意進めておりおおむね予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
免疫不全マウスの皮下に癌細胞を移植し、PRIP内包リポソームを移植部位に投与することで移植部位における癌の細胞増殖や転移が抑制されるか検討する。 また、PRIP内包リポソームの投与が、抗癌剤耐性を示す癌細胞の抗癌剤感受性を増加させるかを転移モデルによって検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた当該年度最終実験を一部優先順位を変更したため繰越金が125,292円生じた。当該実験を進めるために125,292円の繰越金を使用する計画である。
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