研究課題/領域番号 |
17K11646
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松口 徹也 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (10303629)
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研究分担者 |
大西 智和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (30244247)
楠山 譲二 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70596105)
柿元 協子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (40274849)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シグナル伝達 / 細胞分化 / アイソフォーム / 骨芽細胞 / 脂肪細胞 / 遺伝子発現 / 転写因子 / JNK |
研究実績の概要 |
脂肪細胞分化におけるJNKアイソフォーム特異的な役割について解析を行った。JNKの特異的阻害剤およびJNK2アイソフォーム特異的なsiRNA処理の存在下で、マウス前脂肪細胞株である3T3-L1細胞の脂肪分化を誘導すると、脂肪滴の出現、adiponectin、Fabp4、Pparγ、C/ebpaの発現上昇が全て抑制された。興味あることに、JNK2の抑制による脂肪分化の阻害効果は、脂肪分化初期に限定的であった。一方、p46JNK2の強発現は3T3-L1細胞の脂肪分化を促進したが、p54JNK2の強発現は脂肪分化に影響しなかった。これらの実験結果は、p46JNK2がアイソフォーム特異的に初期脂肪分化に必須の役割を果たすことを示していた。次にその分子機構について解析を進め、JNK2による転写因子ATF2のリン酸化(活性化)が、初期脂肪分化に重要なC/cbpd遺伝子のプロモーターへの結合による転写亢進を誘導することを証明した。これらの結果は、生化学の国際的ジャーナルであるBiochemistry Journalに発表した。 また、チロシンキナーゼであるSykが、PLCγ活性を調節することで間葉系幹細胞の多分化能において重要な役割を果たすこと、骨芽細胞が分泌するサイトカインであるオステオポンチンが、FAK特異的脱リン酸か酵素の発現レベルに影響することで、細胞接着に重要な役割を果たすFAK活性を抑えることで骨芽細胞の反応性に及ぼす影響についても解析を進め、それぞれ国際科学ジャーナルであるJ. Cell. Physiol.およびMol. Biol. Cellに発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MAPキナーゼの1種であり細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たすJNKのアイソフォーム特異的な機能について解析を進め、p46JNK2がアイソフォーム特異的に初期脂肪分化に必須の役割を果たすことを示した。また、その分子機構についても解析を進め、JNK2活性依存性な転写因子ATF2のリン酸化が、初期脂肪分化に重要なC/cbpd遺伝子の転写亢進を誘導することを初めて示した。これらの結果は、生化学の国際的ジャーナルであるBiochemistry Journalに発表した。
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今後の研究の推進方策 |
1)マウス各臓器・組織におけるJNK1/2/3アイソフォームのmRNAおよびタンパク発現レベルに対するDUSP16の役割を、主にDUSP16 KOマウスを用いた解析で明らかにする。。 2)上記の結果に基づき、DUSP16によるJNK2(およびJNK1/3)のタンパク発現レベルのアイソフォーム特異的な調節機構を、分子レベルで明らかにする。 3)DUSP16 KOマウスに見られる骨格異常を詳細に調べ、その原因を解析することで、DUSP16-JNK経路の骨格形成における生理的役割を明らかにする。 4)DUSP16 KOマウスにおける自然免疫応答を調べ、野生型マウスとの違いが認められたものについて、その原因となった細胞の種類と、DUSP16-JNK経路の役割を明らかにする。 5)高カロリー食栄養下でのDUSP16 KOマウスにおける糖質代謝の変化を調べ、野生型マウスとの違いが認められたものについて、その原因を明らかにする。
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