研究課題
以前我々は、MAPキナーゼの1種であるJNKが骨芽細胞後期分化に必須であることを示した(Matsuguchi et al. J.Bone Miner. Res.2009)が、その詳細な分子機構は不明であった。今回、JNKの特異的阻害薬存在下の骨芽細胞分化誘導で出現してくるオステオポンチン強発現型骨芽細胞のマスター調節因子として、転写調節因子であるId4を同定し、生化学の国際的ジャーナルであるFASEB Journalに正式に発表した。また、このオステオポンチン強発現型骨芽細胞の出現に、BMP9が抑制的に働くことを示し、それが、転写調節因子Hey1とId4の複合体形成促進によって起こることを証明した。この研究成果は、Int J Biochem Cell Biol誌に発表した。また、BMP9の骨芽細胞に対する作用の特異性に注目し、BMP2との違いとして、EndoglinとGIPC-1タンパク質を介したシグナル伝達経路の存在を明らかにした。このシグナル経路は、PI3キナーゼからAktの活性化経路を促進し、GSK3βのリン酸化誘導によるβカテニンの蓄積を誘導し、BMP9の強力な骨芽細胞分化誘導能のキープレイヤーであることを示した。この研究成果は、FASEB Journalに正式に発表した。また、低出力超音波(LIPUS)によるメカニカルストレスが、BMP9による骨芽細胞分化誘導を強く促進すること、また、それが、細胞骨格に関わるRHOキナーゼ1を介することを見いだした。これらの成果は、J. Cell Biochem誌に発表した。現在、生体内でよく見られる低酸素状態が、JNKアイソフォームタンパクレベル、および骨芽細胞分化に関わる影響について解析中であり、低酸素で誘導される転写因子 Hif-1αが、解糖系酵素の発現誘導を介して骨芽細胞分化に促進的に働くことを見いだし、投稿準備中である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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