研究課題/領域番号 |
17K11668
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中山 真彰 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10579105)
|
研究分担者 |
大森 一弘 岡山大学, 大学病院, 講師 (20549860)
後藤 和義 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20626593)
大原 直也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70223930)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 歯周病 / 炎症 / Porphyromonas gingivalis / ジンジパイン / COX-2 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「歯周病原細菌と宿主細胞間で起こる感染現象の分子基盤を細胞・分子生物学的アプローチにより構築し,歯周病菌が産生する病原性プロテアーゼの機能解析を行ない、歯周病の発症機序を解明する」ことである。本申請研究では歯周病細菌の感染による歯周病発症と病態形成機序を解明するために、歯周病細菌Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis)が産生する病原因子であるプロテアーゼ「ジンジパイン」に着目し、宿主細胞の主要なシグナル伝達経路の撹乱機構を中心に分子解析を行なう。2018年度の研究計画では、歯周病の発症におけるジンジパインの役割を調べるために、ジンジパイン完全欠損株とその野生株を用いた感染実験による比較解析を行ない、歯周組織の炎症で発現がみられるCOX-2やPGE2の産生について調べた。P. gingivalisのLPSや線毛がCOX-2発現やPGE2産生に関与することは知られていたが、ジンジパインが発現誘導に関わる因子であることは報告がなかった。我々の結果から、本菌が産生するジンジパインはLPSや線毛よりも強くCOX-2発現やPGE2産生を誘導することを明らかにした。またジンジパインによるCOX-2発現の分子機序について宿主細胞応答を調べたところ、ERKとIKKの2つのシグナル伝達経路の活性化とそれぞれ転写因子c-Jun/c-FosとNF-kBp65の活性化が重要であることを示した。2019年度では、COX-2発現とPGE2産生に繋がる上流因子の分子解析を行ない、ジンジパインが作用する細胞膜上の入り口となる因子の解析を行なう予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に計画していた研究項目の一つを明らかにし、この結果をもとに研究の進展と広く展開が見込めるため順調であると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度の研究計画に沿って進めることができた。2019年度は当初の計画を行なうと同時に、2018年度の研究成果の進展のために、単球・マクロファージ細胞におけるジンジパインによるCOX-2発現/PGE2産生に繋がるカルシウム応答との関連性を解析をする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度研究計画で計上していた費用よりも少なく研究遂行ができ、かつ進展したことが次年度への使用額が生じたと考えられる。 2018年度では、COX-2発現およびPGE2産生の分子メカニズムを詳細に検討し、2つのシグナル伝達経路が関与することを明らかにした。次年度ではこの成果をもとにシグナル伝達経路に関わる上流因子である細胞内カルシウムの挙動とその役割について調べる計画予定である。さらにはジンジパインが宿主細胞へ最初に作用する受容体ならびに細胞膜タンパク質を解析する。2018年度で生じた2019年度への繰り越し費用は、次年度で行なうタンパク質質量分析による標的タンパク質の同定のための委託解析費用として使用する計画である。
|