研究課題
申請者はこれまでに末梢炎症が脳内ミクログリアを活性化することでストレス脆弱性が亢進されること、また海馬におけるミクログリア活性化の抑制が抗うつ効果を示すことを明らかにしてきた。歯周病はP.gingivarisなどの細菌が口腔に感染することで引き起こされる慢性的な局所炎症であるが、この炎症は全身へと波及し、心疾患や糖尿病などの全身疾患のみならず、認知機能障害などの中枢機能障害のリスクファクターであることが明らかとなってきた。本研究では、歯周病モデルマウスと培養細胞系を用いて、歯周病による末梢炎症が脳内ミクログリア活性化とストレス脆弱性を亢進させること、抗うつ薬が歯周病による脳内炎症とストレス脆弱性亢進を改善させるかを検討した。その結果、歯周病モデルマウスにおいて海馬におけるミクログリアの活性化を伴う炎症応答の亢進を見出した。また、P.gingivaris由来LPS(PgLPS)はTLR2およびTLR4を介してミクログリアの炎症を惹起させ、その培養上清は神経細胞死を引き起こすことに加えて、この神経細胞はミクログリアのNF-κBシグナルを介することを明らかにした。抗うつ薬であるイミプラミンは海馬の炎症を抑制し、ミクログリアにおける炎症をNF-κBシグナルを抑制することでPgLPSによるミクログリアによる神経毒性を減少させた。さらに、歯周病モデルマウスではうつ病様行動およびイミプラミン投与によるうつ病様行動が改善される傾向が観察された。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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