研究課題/領域番号 |
17K11675
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高木 幸則 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30295084)
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研究分担者 |
佐々木 美穂 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (10437874)
中村 卓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30172406)
榮田 智 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80325662)
角 美佐 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (90284702)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 / 超音波 / 唾液腺 / 診断基準 |
研究実績の概要 |
シェーグレン症候群(SS)における超音波画像診断国際基準試案策定を行うために、研究実施計画に基づき、まずはじめに研究コホートの選出を行った。 1993年4月~2016年6月までに当院の口腔乾燥症外来でUSを施行した症例1956例の中から、画像不良症例を除外し、両側の耳下腺、顎下腺の計4腺全ての検査を行っていた1687例を選別した。更にその中から、AECG及びACR両基準で確定診断可能であった213症例を抽出した。内訳はAECG基準の元で、SSが133例、非SSが80例、ACR基準の元で、SSが128例、非SSが85例であった。 続いて、PubMedを引用して、(a)key word: Sjogren’s syndrome / ultrasonography / salivary gland、(b)論文のカテゴリー:original article、(c)出版年:1992年以降、これらの条件のもと、SS唾液腺特有のUS像として優れた所見を抽出した。 その結果、1)エコーレベル、2)内部エコーの不均一性、3)低エコー域、4)低エコー域の大きさ、5)高エコーの線条、6)境界の不明瞭化、7)嚢胞の有無、8)導管の拡張、9)石灰化物の有無、これら所見を有用と判断した。 対象とした213例の耳下腺では、2)、3)、4)、5)の発現頻度がSSで有意に高く、顎下腺ではそれらに加え、6)も高頻度に認められた。 次に単変量解析により各超音波所見の有意性評価を行い、続いて多変量解析(ロジスティック回帰分析)を用い、その中から有効な所見の抽出を行った。これを基に、重症度予測モデル式を作成し、SS唾液腺であるProbabilityを算出、併せてそのRisk評価を行った。最後に各々の患者において、耳下腺、顎下腺、計4腺から得られた予測確率数値を合計し、重症度によるカテゴリー化を行い、病期分類基準を策定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究コホートの選出の段階で追加症例も検討したが、近々の症例は診断基準を満たすだけの検査項目をまだ終えていない症例も少なくなかったため、データの揃った213例をベースに検討を進めた。その結果として、当初の計画以上に円滑に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今のところ、順調に進んでいるため、特に研究計画の変更は行わず、当初の計画に沿って研究を遂行していく予定である。 具体的には、前年度にretrospective study の対象とした患者のうち、口腔乾燥症外来で実際に治療を行った患者を抽出し、得られた重症度予測式と治療効果との相関を解析し、予測モデル式の検証を行う予定である。 これにより、カテゴリー(重症度)に応じた、系統だった治療法の選定が行えるものと考える。そして、その後の口腔乾燥症外来でのprospective studyでの検証を経て、将来的な治療マネジメント立案への足掛かりにしたいと考えている。 これらを、当初の計画通り、滞りなく進めて行きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初、症例の追加を検討していたが、データの蓄積状況から追加困難な状況となった。その結果として、当初の予定よりも使用額が減ったため。
(使用計画)今後retrospective studyの対象とした患者のうち、口腔乾燥症外来で実際に治療を行った患者を抽出し、得られた重症度予測モデル式と治療効果の相関を解析し、モデル式の検証を行う予定である。この際、データの抽出や解析、資料整理などに、想定以上の時間や労力がかかる可能性が否定できない。そうなった場合に、物品費や人件費などに計上する予定である。
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