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2021 年度 実施状況報告書

シェーグレン症候群唾液腺における超音波画像診断国際基準試案策定

研究課題

研究課題/領域番号 17K11675
研究機関長崎大学

研究代表者

高木 幸則  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (30295084)

研究分担者 佐々木 美穂  長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (10437874)
中村 卓  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (30172406)
榮田 智  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80325662)
角 美佐  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (90284702)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワードシェーグレン症候群 / 超音波 / 診断基準 / 唾液腺
研究実績の概要

これまでシェーグレン症候群における超音波画像診断国際基準試案策定を行うために、超音波による最終的な病期分類基準を策定した。
さらに同病期分類基準のカテゴリー(重症度)と様々な口腔乾燥症治療法(1.唾液腺マッサージ・舌体操指導、2.唾液腺生食洗浄、3.唾液腺ステロイド洗浄、4.塩酸セビメリン/ピロカルピン含漱、5.塩酸セビメリン/ピロカルピン内服、6.漢方薬内服)との相関をretrospectiveに解析した。
本年度は併せて超音波による病期分類基準におけるカテゴリー(重症度)と強い相関が得られた治療法を中心に口腔乾燥症外来におけるprospective studyによる検証を本格化し、重症度予測式と治療効果との間に以下の様な関連が確認できた。
カテゴリーΙ(超音波のグレード0):唾液腺に明らかな器質的変化を認めないため、いずれの治療においても、高い治療効果が得られた。カテゴリーII(超音波のグレード1):唾液腺の器質的変化が軽微なため、唾液腺生食洗浄や唾液腺ステロイド洗浄で、良好な治療効果が得られた。カテゴリーIII(超音波のグレード2):唾液腺に中等度の器質的変化が認められ、唾液腺生食洗浄や唾液腺ステロイド洗浄で効果が上がる症例もあれば、効果が乏しく薬剤の併用により、ようやく改善が見られるものもあった。カテゴリーIV(超音波のグレード3):唾液腺に高度の器質的変化が認められ、唾液腺生食洗浄や唾液腺ステロイド洗浄だけで効果が見られるものは少なく、改善には多くの症例で薬剤の併用が必要になった。カテゴリーV(超音波のグレード4):唾液腺に重度の器質的変化が認められるため、唾液腺生食洗浄や唾液腺ステロイド洗浄、そして、薬剤の併用まで行っても、ほとんどの症例で十分な効果が得られなかった。
これらの結果は前年度までに行ったretrospectiveな検証の結果を裏付けるものであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

現在、超音波による病期分類基準におけるカテゴリー(重症度)と強い相関が得られた治療法を中心に口腔乾燥症外来におけるprospective studyによる検証を進め、限られた症例数ではあるが、重症度予測式と治療効果との関連をある程度明らかにすることができている。
ただし、コロナ禍ということもあり、症例数は当初予定していたレベルには達しておらず、まだ十分な信頼性が得られるまでは至っていない。

今後の研究の推進方策

コロナ禍ということもあり、先行きは不透明ではあるが、今後、さらに症例数を増やし、口腔乾燥症外来におけるprospective studyによる追加検証を進めていく予定である。そして、その結果をもとに、最終的に各カテゴリー(重症度)に応じた、有効な治療法の選定を行いたい。
現在、患者重症度に合わせた系統だった治療法はまだ十分には確立できておらず、担当医の経験によるところが大きい。全国的に見ても、シェーグレン症候群を中心とする口腔乾燥症患者の治療体系は残念ながら遅れていると言わざるをえず、担当医間、医療機関の間で大きな差が見られるのが現状である。
本研究成果は将来的な口腔乾燥症の治療マネージメント立案への足掛かりになるのではないかと考える。さらに本研究により得られた成果を国際会議の場ならびに有力国際誌に発表することで、シェーグレン症候群の診断基準に超音波をあらたに追加しようとする世界的な動きに同調した強いアクションが起こせるものと確信している。

次年度使用額が生じた理由

本年度は超音波による病期分類基準におけるカテゴリー(重症度)と強い相関が得られた治療法を中心に口腔乾燥症外来におけるprospective studyによる検証を進めたが、コロナ禍ということもあって、検証に十分な症例数を確保することができなかった。そのため、集積した患者の超音波画像データや治療データなどの解析に必要と見積もっていた人件費や謝金などの支出がなく、繰り越し金が発生した。
次年度もコロナの状況は不透明と言わざるを得ないが、さらに症例数を確保し、信頼性の高いデータ検証を行う予定である。
そして、最終的には集積した患者の超音波画像データや治療データなど膨大なデータ量を取り扱うことになるため、主にその解析に必要となる人件費、謝金などに次年度使用額を当てる予定としている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Comparison of salivary gland MRI and ultrasonography findings among patients with Sjogren’s syndrome over a wide age range2022

    • 著者名/発表者名
      Takagi Yukinori、Sasaki Miho、Eida Sato、Katayama Ikuo、Hashimoto Kunio、Nakamura Hideki、Shimizu Toshimasa、Morimoto Shimpei、Kawakami Atsushi、Sumi Misa
    • 雑誌名

      Rheumatology

      巻: 61 ページ: 1986~1996

    • DOI

      10.1093/rheumatology/keab560

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 小児・成人シェーグレン症候群における唾液腺MRIとUS画像所見の比較、検討2021

    • 著者名/発表者名
      高木幸則、佐々木美穂、栄田 智、片山郁夫、角 美佐
    • 学会等名
      日本歯科放射線学会 第2回秋期学術大会
  • [学会発表] シェーグレン症候群(SS)との鑑別が必要な疾患・病態2021

    • 著者名/発表者名
      高木幸則
    • 学会等名
      第29回日本シェーグレン症候群学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] シェーグレン症候群診断における唾液腺エコーの現在地2021

    • 著者名/発表者名
      高木幸則
    • 学会等名
      第65回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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