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2017 年度 実施状況報告書

有病高齢者の摂食・嚥下を評価するための新たな機能画像の開発と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K11680
研究機関九州歯科大学

研究代表者

森本 泰宏  九州歯科大学, 歯学部, 教授 (00275447)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードCine-MRI / 摂食•嚥下 / 口腔がん
研究実績の概要

1.  正常ボランティア、口腔がん患者及び口腔がんにより舌、顎骨等を切除した患者を対象にT2強調をベースにしたMR sequencesを用いてCine-MRIを撮像し、嚥下機能の評価に試みた。T2強調をベースにしたMR sequencesを用いてCine-MRIを撮像する際、生理食塩水5 mlを経口摂取する状態を経時的に撮像する。今年度の研究では、撮像sequencesの決定が重要であったが、1秒あたりの撮影数は28 枚迄可能であるが確認できた。しかし、撮像コマ数を上昇することに画質の劣化が強まるため、実際の飲水による嚥下機能を評価するにあたり、その最適なものとして1秒あたり15枚撮像することにした。その結果、試みた正常ボランティア、口腔がん患者及び口腔がんにより舌、顎骨等を切除した患者全てにCine-MRIの撮像は可能であった。患者の中には体動により画質が低下したものも見られた。しかし、撮影対象者の全員に嚥下による飲水の口腔から食道迄の流れを評価することが可能であった。この結果より、我々が試みたT2強調をベースにしたMR sequencesを用いて口腔がん患者に非侵襲的で安全に嚥下機能を評価できる方法は確立できたと思われる。
2. Dynamic MR sialographyのsequencesを改良し、Super Dynamic MR sialographyとして非常に短時間の撮像を試みている。Cine-MRIのsequencesとDynamic MR sialographyのsequencesを融合して、口腔内に5%のクエン酸を滴下後(唾液誘発刺激後)の画像を作成した。しかしながら、極めて短時間のMRI撮像のため唾液の流れによる唾液腺管の描出が困難な状態である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Cine-MRIを用いた嚥下機能評価について、ボランティアだけではなく、口腔がん患者に対する応用も可能であることを確認しているため順調に進んでいると考える。しかし、Super Dynamic MR sialographyの手法は確立したものの画像化については成功しておらず、新しい知見の発見には至っていないのが現状である。Functional MRIによる咬合状態の評価に関しては、若年者ボランティアでの評価は可能であることから高齢者のボランィア及び咬合状態が著しく壊れた高齢者に対して今後行っていきたいと考えている。

今後の研究の推進方策

我々が試みたT2強調をベースにしたMR sequencesを用いて作成したCine-MRIを応用した嚥下機能の評価は口腔がん患者への応用は可能である。従って、今後は定期検診おけるMR検査時にCine-MRIを追加撮影することで、症例数を増やし、その意義を確立して結果の発表に繋げていきたいと考えている。更にSuper Dynamic MR sialographyによる極短時間の撮像において唾液腺管の描出を可能にし、その画像が意味するものを探求していきたいと考えている。Functional MRIにおける咬合状態の把握に関しても高齢者や歯周病で咬合状態が不全になった患者を対象として撮像を行い、脳機能の変化を捉えられるように研究を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

予定していた論文の英文校正と別刷りがデータ作成の遅れにより年度内に作成できなかったため。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Basic and important points regarding the diagnosis of oral cancers using 18F-FDG-PET-CT.2017

    • 著者名/発表者名
      Kito S, Koga H, Oda M, Tanaka T, Kodama M, Habu M, Miyamoto I, Kokuryo S, Yamamoto N, Wakasugi-Sato N, Matsumoto-Takeda S, Yoshiga D, Osawa K, Nishimura S, Joujima T, Mochida K, Kawanabe N, Matsuo K, Uehara M, Sasaguri M, Yoshioka I, Tominaga K, Morimoto Y
    • 雑誌名

      Oral Radiol

      巻: 33 ページ: 170-177

    • DOI

      doi.org/10.1007/s11282-017-0273-0.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Importance of absorbable surgical sutures for the prevention of stitch abscess after surgery in patients with oral squamous cell carcinoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto N, Takahashi Y, Kono T, Abe A, Kawamura K, Joujima T, Wakasugi-Sato N, Nishimura S, Oda M, Tanaka T, Kito S, Kawano K, Morimoto Y
    • 雑誌名

      Med Oral Patol Oral Cir Bucal

      巻: 22 ページ: e349-e353

    • DOI

      doi:10.4317/medoral.21445

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Changes in the distributions of fluorine-18-labelled fluoro-2-deoxy-D-glucose accumulation into tongue-related muscles after dissection in patients with tongue cancer.2017

    • 著者名/発表者名
      Kito S, Koga H, Oda M, Tanaka T, Miyamoto I, Kodama M, Habu M, Kokuryo S, Osawa K, Yamamoto N, Matsumoto-Takeda S, Wakasugi-Sato N, Kawanabe N, Yoshiga D, Nishimura S, Joujima T, Kito-Shingaki A, Uehara M, Sasaguri M, Morimoto Y
    • 雑誌名

      Dentomaxillofac Radiol

      巻: 46 ページ: 20160396

    • DOI

      doi: 10.1259/dmfr.20160396.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Densi cancellous bone as evidenced by high HU is predictive of late implant failure.2017

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto I, Takahashi T, Tanaka T, Hirayama B, Tanaka K, Yamazaki T, Morimoto Y, Yoshioka I
    • 雑誌名

      Oral Radiol

      巻: 33 ページ: 1-9

    • DOI

      DOI: 10.1007/s11282-017-0299-3.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 九州歯科大学附属病院歯科放射線科における約10年間の画像検査と撮像目的の分析.2017

    • 著者名/発表者名
      小田昌史, 松本(武田)忍, 若杉(佐藤)奈緒, 鬼頭慎司, 田中達朗, 西村 瞬, 城嶋孝章, 餅田健一, 森本泰宏
    • 雑誌名

      歯放

      巻: 57 ページ: 24-32

  • [学会発表] 小児歯科領域における画像診断.2017

    • 著者名/発表者名
      森本泰宏
    • 学会等名
      第25回 北九州市小児口腔保健学会総会・学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 顎骨・顔面領域の疾患に対する画像を用いた臨床研究.2017

    • 著者名/発表者名
      森本泰宏
    • 学会等名
      平成29年度 全国歯科大学・歯学部附属病院診療放射線技師連絡協議会総会・学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 画像を用いた口腔・顎・顔面領域の臨床研究の最前線.2017

    • 著者名/発表者名
      森本泰宏
    • 学会等名
      第17回日本外傷歯学会総会・学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 導帯管の画像と描出率に関する検討. -CT及びパノラマエックス線画像による分析-2017

    • 著者名/発表者名
      森本泰宏, 田中達朗, 鬼頭慎司, 西村 瞬
    • 学会等名
      第17回日本外傷歯学会総会・学術大会
  • [学会発表] 小児歯科領域におけるCT、MR診断.2017

    • 著者名/発表者名
      森本泰宏
    • 学会等名
      第28回西日本臨床小児口腔外科学会総会・学術大会
    • 招待講演
  • [図書] 今さら聞けない歯科用CBCTとCTの読像法-三次元でみる顎顔面領域の正常画像解剖と疾患-2017

    • 著者名/発表者名
      森本泰宏(森本泰宏, 金田 隆 編集)
    • 総ページ数
      116
    • 出版者
      クインテッセンス出版, 2017.
  • [図書] Cased Based Review 画像診断に強くなる 顎口領域の疾患 読影ポイントから病理診断、治療方針まで2017

    • 著者名/発表者名
      森本泰宏(金田 隆, 久山佳代 編集)
    • 総ページ数
      296
    • 出版者
      永末書店
  • [図書] 新歯科放射線学 第2版2017

    • 著者名/発表者名
      森本泰宏(金田 隆, 櫻井 孝, 土持 眞 編集)
    • 総ページ数
      392
    • 出版者
      医学情報社
  • [図書] 知っておきたい顎、歯、口腔の画像診断(画像診断別冊 KEY BOOKシリーズ)2017

    • 著者名/発表者名
      森本泰宏(山下康行 監修 金田 隆, 中山秀樹, 平井敏範, 生嶋一朗 編著)
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      秀潤社

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公開日: 2018-12-17  

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