研究課題
摂食・嚥下機能の画像評価にはvideofluorography(VF)とvideoendoscopy(VE)が主に臨床応用されている。VFは摂食・嚥下機能評価のgold standardであるが術者を含めた被ばくと患者の誤嚥という問題点がある。更には、気道周囲の軟組織変化を全く評価できないという問題も認められる。VEは摂食・嚥下機能の評価としては不充分である。そこで、VFの欠点を補うものとしてMRに注目し、T2強調画像を応用したcine-MRによる嚥下機能を評価する手法を考案した。この手法を患者に臨床応用することで摂食・嚥下に対する革新的な画像診断の有効性を評価した。口腔がん全患者に対して我々の開発したcine-MRIは応用可能であった。全患者において口腔から食道までの生理食塩水の流れを適切に評価することが可能であった。加えて、舌尖や舌根、軟口蓋、咽頭後壁、口腔底、喉頭蓋といった摂食・嚥下に関する全ての重要な構造物がcine-MRIで観測できた。cine-MRIより算出される6つのパラメータに関してself-reported dysphagia scoresと相関していた。4つのパラメータに関して嚥下状態の悪化、口腔がんのT分類の程度、口腔がんに対する手術の侵襲度との間に相関性を認めた。これらの結果は我々が開発したcine-MRIは口腔がん患者に対して周囲軟組織の機能を含めた摂食・嚥下機能の評価が可能であることを意味する。舌下腺のDynamic MR sialographyの描出及びそのデータ採取が可能であった。若年者、高齢者及び舌下腺疾患の有病者間で舌下腺由来の唾液の流出割合に有意差は認めなかった。但し、ranulaを有する患者ではDynamic MR sialographyを用いることで正確に舌下腺由来の腫瘤であることを診断できた。
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