研究実績の概要 |
前年度(平成29年度)の研究は、歯周組織の細胞からエクソソームを回収して、その内容物を次世代シーケンサーにてsmall RNA-seq解析する実験系を大きな柱の一つにしていた。しかし、解析を進めると、様々な困難に直面して時間を要してしまい、当初の計画通りには進まなかった。そこで、平成30年度は、まず、この難航しているsmall RNA-seq解析に取り組んだ。ライブラリー調製方法等を再検討することで、時間を要したものの、この課題を解決することが出来た。この成功によって、研究が大きく進展した。また、エクソソームは細胞外小胞の一種であり、ヘテロな小胞の集団である。そのため回収方法によって、その性質が異なる場合がある。そこで、本実験系で使用したエクソソームの表面抗原を抗体アレイで網羅的に解析した。試薬メーカーのプロトコール通りに実験してもデータが得られず、時間を要したものの、プロトコールを工夫することによって、年度内にデータを得ることが出来た。生理的状態のTHP-1 細胞由来マクロファージ様細胞から得られたエクソソームでは、解析した CD63, CD81, FLOT1, ICAM, ALIX, EpCAM, ANXA5, TSG101のうち、CD81とEpCAMが強く発現していた。CD63は、テトラスパニンのひとつで、エクソソームのマーカーとしてよく知られるが、生理的状態のマクロファージ様細胞のエクソソームでは、それほど強く発現していなかった。しかし、TNF-α刺激によってCD63陽性のエクソソームが増える傾向が認められた。
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