研究課題/領域番号 |
17K11683
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
早坂 純一 自治医科大学, 医学部, 病院助教 (90438664)
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研究分担者 |
勝又 明敏 朝日大学, 歯学部, 教授 (30195143)
伊藤 弘人 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (60306115)
森 良之 自治医科大学, 医学部, 教授 (70251296)
去川 俊二 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (90324194)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 下顎骨再建 / 手術シミュレーション / 画像評価 / 摂食嚥下機能 / 歯科放射線学 / 歯科口腔外科学 / 形成外科学 |
研究実績の概要 |
下顎再建後の軟組織形態の術後変化の検討に関して、前年度の再建下顎骨に関する再建術の画像解析手法を拡張して顔面形態の術後変化を検討した。当初、術前および術後のCTデータを用いて、レジストレーション(重ね合わせ)で評価を予定していたが、解剖学的ランドマークの決定が困難であった。そのため、3D画像撮影解析装置による評価に変更し、現在データの収集過程にある。また再建手術シミュレーションの実証実験のため、術前のCTデータから実体模型を作製することを計画した。3D実体模型作製では生体質感の再現に軟性素材と硬性素材を用いるために、術前のCT―データから硬組織である歯や顎骨、そして筋肉・血管・脂肪等の軟組織に分けて2つのデータを抽出した。しかし、データ抽出時に補綴物によるアーチファクトや舌と上下顎の境界が不明瞭で抽出が困難であり、さらに抽出した2つのデータの再構築を行うには、現有しているソフトウェアでは再現性が不良であることが判明した。軟組織を含めた3D実体模型による手術シミュレーションを行うことは不可能であったが、下顎骨と移植骨の3D模型を用いた手術シミュレーションの開発に成功した。その成果を日本口腔外科学会、日本口腔腫瘍学会、日本口腔科学会及び13th Asian Congress on Oral and Maxillofacial Surgeryで報告した。今後は下顎再建精度と顎口腔機能の関連性を明らかにしていく予定である。また術前にアーチファクトを軽減させる手法を開発して軟組織を含めた手術シミュレーションシステムの開発、そして下顎再建前後の顔面形態評価に関しては3D画像撮影解析装置を用いた画像解析方法の研究を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
再建下顎の顔面形態評価は、CTデータを利用した方法が困難であったことから、3D画像撮影解析装置を用いた画像解析方法に計画を変更したため遅れている。また術後治療が行われると、顔面浮腫、体重減少、嚥下障害等が生じる。術後追加治療を行わない群と追加治療実施群間では、再建下顎骨の再現性が高くても顔面形態や嚥下機能に差が生じる可能性がある。よって、研究対象の再検討が必要になったことが研究の進捗を遅らせた。
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今後の研究の推進方策 |
下顎骨再建患者において追加治療(放射線治療)が行われると軟組織形態や嚥下機能に影響をおよぼすため、下顎骨再建後に追加治療が行われなかった症例に対象を絞って研究を行う予定である。再建後の顔面形態の評価には、3D画像撮影解析装置を用いてレジストレーションを行い、画像解析手法を開発予定である。軟組織を含めた手術シミュレーションの実体模型作製に関しては、CT撮影時に口腔軟組織を判別しやすいようにスペーサを作製するなどして、画像データの抽出精度を高める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
再建下顎の軟組織形態評価方法を3D画像撮影解析装置を用いた方法に変更し購入を検討したが、現有している3D画像撮影解析装置で代用可能であり購入不要となったためである。今後の使用計画としては、論文を投稿予定であり投稿論文の校正や投稿費用、学会での成果発表をするための旅費に使用を予定している。
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