研究課題/領域番号 |
17K11686
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
津田 啓方 日本大学, 歯学部, 准教授 (60325470)
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研究分担者 |
三上 剛和 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80434075)
好士 亮介 日本大学, 歯学部, 専修研究員 (80453877)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 短鎖脂肪酸 / 細胞死 / オートファジー / 活性酸素種 / 歯周炎 / DAMPs / 関節リウマチ / 三次元培養 |
研究実績の概要 |
本研究は、①低栄養条件下での酪酸誘導細胞死の誘導メカニズムを解明するとともに、②より生体に近いとされている初代培養細胞を用いた上皮―結合組織三次元培養系を作成し、それを用いて酪酸誘導細胞死及び関節リウマチ関連因子の放出について調べ、それらの研究結果から歯周炎誘導関節リウマチ予防法の開発を考えるための情報を得ることを目的としている。酪酸はヒストンでアセチラーゼ(HDAC)としても有名なので、酪酸刺激で誘導されるヒストンのアセチル化が細胞死誘導と関係があるかどうかを調べたところ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤C646で前処理したヒト歯肉上皮細胞に酪酸を作用させてもヒストンのアセチル化は抑えられ、かつ酪酸誘導細胞死も抑制された。このことから、ヒストンアセチル化の増加が酪酸誘導細胞死に重要であることが示唆された。また、酪酸誘導細胞死によりDNAが放出されていた。オートファジー及び活性酸素が細胞死に関与しているというこれまでの研究結果と併せて考えると、この細胞死はNETosis様の細胞死ではないかと考えられた。そこで、NETosis誘導にはpeptidyl arginine deiminase 4 (PAD4)活性が必要と報告されているので、その阻害剤であるCl-amidineでPAD4活性を抑制すると、酪酸誘導の細胞死は抑制された。このことから、酪酸誘導細胞死はNETosis-likeな細胞死であることが示唆された。さらに、上皮-結合組織からなる三次元培養系を患者由来の細胞を用いて試みたところ、サイトケラチン陽性の上皮とビメンチン陽性の結合組織からなる三次元培養系構築に成功した。ただし、初代歯肉上皮細胞の扱いが難しく、安定的にこの系を構築できていない。ヒト歯肉上皮株化Ca9-22細胞を用いた系が今のところ比較的安定している。今後、安定的に三次元系が構築できる条件を詰める必要がある。
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