研究課題/領域番号 |
17K11693
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
筑井 朋子 (白石朋子) 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (80580472)
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研究分担者 |
湯浅 賢治 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (40136510)
香川 豊宏 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (00258592)
吉田 祥子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 医員 (90780635)
岡村 和彦 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (00224056)
稲冨 大介 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 診療放射線技師 (00454934)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 超音波 / エラストグラフィ / リンパ節 |
研究実績の概要 |
第一に probeの接触圧が剪断波速度(Shear Wave Velocity : SWE)に与える影響を検討した。使用した超音波装置は、ACUSON S2000 HELX(Siemens社)であり、測定対象としてelasticity QA phantom model 049Aを用いた。Phantomは、9, 15,43,85 KPaの円柱とバックグランド27KPaの領域からなる。垂直的な圧をかけ、phantom下に設置した重量計で、圧の調整を行った。重量計の読みを150,500,800,1200gと調整した。その結果、バックグラントより柔らかい対象に関しては、圧の増加に伴うSWEの変動は小さく、いずれの圧に関しても、150gの時に比較し変化は2%未満であった。一方、硬い対象では、垂直圧増加に伴いSWEの増加傾向が見られ、43KPaでは、1200gで2.5%の増加、85KPaでは、500gで2%を超え1200gでは、9%程度になった。すなわち、硬い対象ほど、probeの接触圧により影響を受けやすい事が明らかになった。このことより、装置で表示されているelastographyの信頼性を確認する 第二に臨床症例の蓄積を行った。90個のリンパ節において、転移・非転移のSWEの有効性を検討した。転移3.9±0.9m/s, 非転移リンパ節では、2.20±0.5m/sと有意差を認めた。すなわち、閾値は3m/s程度であると考えられ、ファントム実験の結果も踏まえると、probe圧によりSWEに影響を受ける領域と考えられ、なるべく小さな接触圧での検査が必要である事が明らかになった。このことは、測定時に過剰な圧力がかかっている画像は、リンパ節のSWE計測には適さない事が示唆し、今後の臨床でも生かしていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ファントム実験において、probeとの接触圧の調整に手間がかかった事がやや遅れた原因である。当初は、センサーをprobe側面に貼り付け、probeの歪みを算出し接触圧を推定する方法を試みたが、再現性が悪い事や捜査中に外れる事があることより断念した。その為、垂直圧をかけ、ファントム下におかれた重量計の読みを用いて、その値を代用することとした。
また、今回使用したファントムは、一般的なQAファントムである。臨床症例を取得する事により、転移・非転移リンパ節の硬さが把握できてきた。その為、リンパ節の硬さ付近を詳細に評価するために、特化したファントムが必要であると考えられる。そのための再実験の必要性がある事が、やや遅れている理由である。
一方で、装置のアプリケーションでは、既存の大きさの正方形の関心領域でしか測定が不可能であったが、データをPCに移動させ、画素値をSWVに変換できるようになった事より、臨床・ファントム実験とも多量のデータ解析の効率化ができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ファントム実験に関しては、本年度は、円柱の軸に対して垂直な方向での計測であったが、軸に平行、45度など、方向性を変化させて計測を行う予定である。リンパ節は、通常楕円体であり、SWEの異方性が想定されるが、現在使用されるアプリケーションでは、等方性を前提にしている。そのため、ファントムにおいてどのくらいの変化があるかを検討する必要がある。 臨床症例に関しては、症例の蓄積を進めていく。30症例を予定している。こちらでも、異方性の検討を行うため、従来の横断面の他、縦断面に関しても、SWEの解析を行っていく予定にしている。また装置のアプリケーションでは、装置上では既存の正方形の関心領域でのSWE計測しかできないが、dataをPCに移行して、任意の関心領域、ピクセル毎のSWE解析が可能となっている。その為、平均値にもならず、標準偏差、尖度、歪度なども算出する予定である。 さらに摘出リンパ節内の腫瘍部分と正常リンパ節の割合を定性的に評価し、SWEとの相関を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者が他の研究費を獲得できたため、旅費や画像解析装置やアプリケーションにたいして、他から支出することができた。来年度は摘出リンパ節におけるSWE 画像を組織切片との関連評価と解析を中心に行なっていき、総まとめとしての学会報告および論文作成を行う。
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