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2018 年度 実施状況報告書

腸内環境が唾液の質と感染防御をつかさどる:大腸が唾液中IgAに与える効果の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K11694
研究機関神奈川歯科大学短期大学部

研究代表者

山本 裕子  神奈川歯科大学短期大学部, その他部局等, 講師 (60756568)

研究分担者 槻木 恵一  神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00298233)
高橋 徹  郡山女子大学, 家政学部, 准教授 (80324292)
猿田 樹理  神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (30454151)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード唾液 / IgA / 高脂肪食 / 糖尿病 / 顎下腺 / 運動
研究実績の概要

昨年度の研究で、高脂肪食摂取により唾液中IgA分泌速度を増加させるフラクトオリゴ糖の効果が消失する可能性を明らかにした。今年度この実験のラット血清中IgG濃度を測定したところ、脂肪添加含量の違いの影響が認められた。高脂肪食摂取が全身的な免疫低下を起こし、唾液中IgA分泌速度に関与する可能性が示された。現在顎下腺チロシンヒドロキシラーゼ染色を行い、交感神経と唾液中IgA分泌速度の関係について、組織の面からも解析を行っている。
昨年度の研究成果を受けて、今年度は糖尿病と運動が盲腸内容物IgAと顎下腺IgA濃度に与える影響を見るためのプレ実験を行った。糖尿病モデルラットOLETFとそのコントロールLETOを使用し、7週令から1週間予備飼育後に、LETO群、OLETF群、OLETF自発運動群の3群に分け、OLETF自発運動群は回転ケージで飼育した。16週後に顎下腺、血清、盲腸組織、盲腸内容物を採取し、顎下腺、盲腸内容物、血清IgA濃度をELISA法で測定した。顎下腺組織IgA濃度は群間の違いが認められた。LETO群に比較してOLETF群・OLETF自発運動群で低値が認められたが、OLETF群とOLETF自発運動群との間に差は認められなかった。血清中IgA濃度は群間の違いが認められ、顎下腺組織IgA濃度と血清中IgA濃度との間には正の相関が認められた。盲腸内容物中IgA濃度は群間の差が認められた。盲腸内容物中IgA濃度は、OLETF自発運動群でLETO群・OLETF群に比較して高値が認められたが、LETO群とOLETF群の間には差は認められなかった。顎下腺IgA濃度と盲腸内容物中IgA濃度との間には相関が認められなかった。糖尿病発症により顎下腺IgA濃度が低下する可能性が示された。また糖尿病を発症している場合は自発運動の有無では顎下腺組織IgA濃度に変化はみられない可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した研究計画のうち、1.ラットに高脂肪食を摂取させ、盲腸内の代謝産物とIgAの増減、唾液中IgAの増減を解析、2.ラットに高脂肪食・難消化性糖類を同時摂取させ、盲腸内代謝産物と唾液中IgAの増減を解析、3.ラットに高脂肪食・難消化性糖類を摂取させ、それぞれが自律神経に与える影響を解析、まではほぼ終わっている。4.ラットに高脂肪食・難消化性糖類を摂取させ、顎下腺の形質細胞数とpIgR の増減を解析は、次年度中に行うことが可能である。5.ラットの血中に短鎖脂肪酸を投与し、唾液中IgAの増加と顎下腺形質細胞数とpIgR を解析、は今年度ラットの皮下に浸透圧ポンプを埋め込み、継続的にラット血中に短鎖脂肪酸を投与する実験を行ったが、うまくいかなかった。現在ラットに短鎖脂肪酸を添加した水を摂取させることで、ラットの血中短鎖脂肪酸濃度を上げて唾液中IgA分泌速度の変化を見る動物実験を進行中である。
高脂肪食摂取による肥満が発症原因の一つとされる糖尿病が唾液腺に与える影響を確認するためのプレ実験も行うことができ、将来の実験につなげることができた。

今後の研究の推進方策

現在交付申請書内「平成31年度の研究実施計画」に記載した、「5.ラットの血中に短鎖脂肪酸を投与し、唾液中IgAの増加と顎下腺形質細胞数とpIgR を解析」する動物実験が、ラットに短鎖脂肪酸を添加した水を摂取させる方法で進行中である。次年度はこの実験を終了させ、さらにラットに交感神経刺激薬を継続投与することによる唾液中IgA分泌速度の変化を見る予定である。これらのデータを次年度中に論文にまとめて投稿する予定にしている。

次年度使用額が生じた理由

今年度はラットの血中に短鎖脂肪酸を投与する実験が失敗してしまい、その後の解析にかかる費用を使用しなかったため。この動物実験はラットに短鎖脂肪酸を添加した水を摂取させることで血中短鎖脂肪酸濃度を上げることに方法を変えて、進行中である。次年度はこの実験に関する解析で予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Effect of ingesting yogurt fermented with Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 on influenza virus-bound salivary IgA in elderly residents of nursing homes: a randomized controlled trial2019

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Y, Saruta J, Takahashi T, To M, Shimizu T, Hayashi T, Morozumi T, Kubota N, Kamata Y, Makino S, Kano H, Hemmi J, Asami Y, Nagai T, Misawa K, Kato S, Tsukinoki K
    • 雑誌名

      Acta Odontologica Scandinavica

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effect of Social Isolation Stress on Rat Saliva BDNF Level2019

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Y, To M, Saruta J, Yamamoto Y, Yamamoto T, Shimizu T, Kamata Y, Matsuo M, Tsukinoki K
    • 雑誌名

      Journal of Oral Science

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 脂肪添加量の違いとフラクトオリゴ糖添加が唾液中IgA分泌速度に与える影響2018

    • 著者名/発表者名
      山本裕子, 高橋徹, 猿田樹理, 東雅啓, 窪田展久, 槻木恵一
    • 学会等名
      第72回日本栄養・食糧学会大会
  • [学会発表] OLL1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルト摂取が施設入所高齢者の唾液中IgAに与える効果2018

    • 著者名/発表者名
      山本裕子, 井出桃, 東雅啓, 猿田樹理, 槻木恵一
    • 学会等名
      日本歯科衛生学会第13回学術大会
  • [学会発表] 脂肪添加含量の違いとフラクトオリゴ糖添加が唾液中IgA分泌速度と顎下腺チロシンヒドロキシラーゼに与える影響2018

    • 著者名/発表者名
      山本裕子, 槻木恵一
    • 学会等名
      第14回日本食品免疫学会学術大会
  • [学会発表] 脂肪添加量の違いとフラクトオリゴ糖添加が唾液中IgA分泌速度と顎下腺チロシンヒドロキシラーゼ濃度に与える影響2018

    • 著者名/発表者名
      山本裕子, 高橋徹, 猿田樹理, 東雅啓, 林隆司, 槻木恵一
    • 学会等名
      第24回Hindgut Club JAPAN シンポジウム

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公開日: 2019-12-27  

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