研究課題/領域番号 |
17K11697
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金谷 聡介 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80375097)
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研究分担者 |
根本 英二 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40292221)
天雲 太一 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80451425)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯根膜細胞 / 活性型ビタミンD3 / Cementum protein 1 / Osteocalcin |
研究実績の概要 |
根未完成歯において歯髄が失活あるいは不可逆性歯髄炎などにより歯髄を全部除去した場合、緊密な根管充填を行うためには、根尖部に修復セメント質の形成を誘導することにより根尖部を閉鎖する必要がある。現在、水酸化カルシウム系糊材を根管内に、あるいはMineral Trioxide Aggregate (MTA)セメントを根尖部に充填する方法が用いられているが、根尖の閉鎖には限界がある。本研究の目的は、ビタミンD3の局所投与および全身投与による新たなセメント芽細胞分化誘導法を確立し、修復セメント質形成による根尖部の閉鎖を促進する新規歯内治療法の開発に向けた学術基盤を構築することである。 現在までの実験から、活性型ビタミンD3でヒト歯根膜細胞を刺激すると、1 nMから1000 nMのすべての濃度で、歯根膜に発現しセメント芽細胞に特異性の高いとされているCementum protein 1 (CEMP1)遺伝子の発現を増強する結果が得られた。さらに100 nMの濃度でセメント芽細胞に特異性の高い遺伝子とされるF-spondinの発現も増強した。また、骨芽細胞、セメント芽細胞の分化にも重要であるOsteocalcinなどの種々の遺伝子の発現も顕著に増強した。このことから、活性型ビタミンD3は歯根膜細胞の分化を促進することが示唆された。次に、活性型ビタミンD3が歯根膜細胞のCEMP1タンパク質発現に及ぼす影響を調べたところ、100 nM濃度の長期刺激でCEMP1を強く発現する細胞の出現がみられた。そこで、100 nM活性型ビタミンD3が不死化マウスセメント芽細胞OCCM-30を用いて石灰化能に及ぼす影響について調べたところ、顕著な石灰化の促進がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
採取したヒト歯根膜細胞を通常培地にて継代培養し活性型ビタミンD3にて刺激すると、セメント芽細胞に特異性の高い遺伝子とされているCEMP1およびF-spondinの発現が増強した。さらに長期刺激によるCEMP1タンパク質発現の増強もみられた。また、活性型ビタミンD3は不死化マウスセメント芽細胞の石灰化を顕著に促進することも明らかとなった。これらの結果から、活性型ビタミンD3は歯根膜細胞やセメント芽細胞の分化を促進する可能性があるという重要な知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、活性型ビタミンD3がヒト歯根膜細胞の硬組織形成能に与える影響について詳細に解析を行う。長期培養タイムコースによるALP活性および石灰化ノジュールの形成を解析する。さらに長期刺激が歯根膜細胞の遺伝子発現に及ぼす影響について解析を行う。セメント芽細胞に特異性の高いと考えられる遺伝子、セメント芽細胞や骨芽細胞の分化に関わる遺伝子およびビタミンD受容体遺伝子等の発現に及ぼす影響について解析を行う。対照としてヒト歯肉線維芽細胞を用いる。さらにセメント芽細胞に特異性の高いタンパク質の発現について、蛍光免疫染色を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初はヒト歯根膜細胞における活性型ビタミンD3刺激による分化誘導、石灰化誘導について解析を行い、必要に応じて歯根膜幹細胞を分離、セメント芽細胞への分化誘導への各細胞の役割や関与について検討を行う予定であったが、全ヒト歯根膜細胞の応答について解析を行うこととし、まず、マウスセメント芽細胞を用いて活性型ビタミンD3が分化に及ぼす影響を調べ、石灰化誘導の刺激条件を決定することから開始した。歯根膜細胞を用いた石灰化能、遺伝子発現の解析や免疫染色、対照のヒト歯肉線維芽細胞に対する解析は次年度に行うこととなったため。 (使用計画)マウスセメント芽細胞の解析で決定した刺激条件にてヒト歯根膜細胞およびヒト歯肉線維芽細胞の石灰化能に及ぼす影響についてタイムコースを設定して詳細に解析する。また同じ刺激条件で長期刺激を行い、CEMP1, F-spondin, Alkaline phosphatase, Osteocalcin, Bone sialoprotein, Osterix, Runx2, Vitamin D receptor遺伝子等の発現に及ぼす影響について解析を行う。さらに同条件にて免疫細胞染色を行う。
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