研究課題/領域番号 |
17K11705
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 洋子 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (60448107)
|
研究分担者 |
奥山 克史 朝日大学, 歯学部, 准教授 (00322818)
岩見 行晃 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (90303982)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | PIXE/PIGE / 脱灰歯質 / フッ素 / 亜鉛 / ストロンチウム |
研究実績の概要 |
う蝕進行抑制過程において、F、Ca、Sr、Zn、Al、P、Cu などの種々のイオンの関与の有無は解明されているとは未だに言えない。しかし、これらイオン単体での測定法は多々あるものの、う蝕進行抑制と関連つけて検討する適正な方法はなかった。 我々が従来より開発してきたIn-air μ-PIXE/PIGE 法を用い、定量測定するために必要な標準試料として、Fに対しては従来からのものを使用し、ZnとSrには、酸化亜鉛、硫酸ストロンチウムおよびハイドロキシアパタイトを用いて新たに作成し、Ca、F,Znの検出器以外に、Srの測定のために、低エネルギーのX線を除外するための検出器を新たに備えたIn-air micro-beam PIXE/PIGE(国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子ビーム科学研究部門 高崎量子応用研究所:TARRI QST)を用いて、歯質内のZn、Ca、F、Srの面分析の測定を、昨年と同様に続行している。 Znを含有する試作歯科材料、および新たな性状の異なるフッ素含有材料からのフッ素浸透に関しても、健全歯質と脱灰歯質での差について検討した。脱灰歯質での取り込みやう蝕抵抗性から、治療困難な高齢者にとってもこれらの材料の使用は有用である可能性が示された。さらに、若狭湾エネルギー研究センター(WERC)でのIn-air micro-beam PIXE/PIGEを用いての測定も開始され、同様に健全歯質と脱灰歯質での浸透に関しての測定を行った。 本測定法は元素分析に優れ、特に歯質内のFの測定に関しては他の追従を許さない画期的な測定法である。TARRI QST及びWERCで得られるミクロ領域のデータは、定量測定のため、比較検討が可能な体系的な定量データであり、経時的変化を観察できることから、う蝕進行抑制に関与する種々のイオンを動的に把握できると期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マシンタイムも順調に得られたため、ほぼ予定通り進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響でTARRI QSTでの5月の測定が中止となり、7月にもマシンタイムは予定されているが、現時点で実施されるかは不確定である。またWERCでもマシンタイムを申請したが再度修理が必要となったことで、2020年度の測定は困難な状況であるが、TARRI QSTでの後半のマシンタイムは実行できると考えられるので、研究は推進できる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本来なら本年3月で終了予定だったが、参加予定だった3月のワシントンでの国際学会が新型コロナの影響で中止され、それらの諸費用が余剰となった。延長申請して受諾されたので、これらの研究費は引き続き実験継続のための試料作製や、学会発表に計上される。
|