研究課題/領域番号 |
17K11706
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
土屋 志津 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (60610053)
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研究分担者 |
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
本山 直世 広島大学, 医系科学研究科(歯), 専門研究員 (70509661) [辞退]
柴 秀樹 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (60260668)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炎症抑制 / 硬組織形成 / ドラッグリポジショニング |
研究実績の概要 |
本研究は、炎症の主たるシグナル伝達経路であるNF-κBシグナルを抑制する非ステロイド性抗炎症薬NSAIDの歯髄組織への効果を調べることで、炎症抑制・硬組織形成・鎮痛を同時に行う新たな歯髄炎治療薬の開発を目指した基礎研究を行うことを目的としている。まずはNSAIDの中でもすでに臨床の現場や市販薬としても使用されているAspirinの硬組織形成への影響について検討を行ってきた。当初はin vitro実験系において、ヒト抜去歯から歯髄細胞を採取後に樹立した歯髄細胞株を用いた検討を行う予定だったが、硬組織形成に対するAspirinの効果の詳細なメカニズムを解明するために、骨芽細胞株を用いた研究に変更した。骨形成誘導因子BMPで分化誘導した骨芽細胞株にNF-κBシグナルを抑制する濃度(高濃度)のAspirin を添加すると、アルカリホスファターゼ(ALP)活性は上昇せず、低濃度AspirinではALP活性が上昇した。また低濃度のAspirinの添加は、BMPのみと比較し、骨芽細胞分化マーカー遺伝子の発現増加が確認できた。 以上の結果より、Aspirinは低濃度ではBMP誘導による骨分化マーカー遺伝子の発現を促進し、高濃度では炎症抑制と、石灰化抑制に関与している可能性が示唆された。このことから本研究は、非ステロイド性抗炎症薬Aspirinがドラッグリポジショニングとして、炎症抑制・組織再生を同時に行う新たな歯髄や硬組織再生療法に利用するための基礎的研究となったと考える。
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