研究課題/領域番号 |
17K11709
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
武川 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10632664)
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研究分担者 |
中西 正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00217770)
平尾 功治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00581399)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯髄炎 / 象牙芽細胞 / 自然免疫 / インターフェロンγ |
研究実績の概要 |
近年、可能な限り生活歯髄を保存しようとする機運が高まっていることから、歯髄炎発症および進行のメカニズムを解明することは、新たな歯髄保存療法の開発につながるものと考えられる。 歯髄の最外層に位置する象牙芽細胞は、細菌内の菌体成分を認識する受容体のnucleotide-binding oligomerization domain (NOD) 1および2を発現していることが報告され、歯髄の生体防御に積極的に関与している可能性がある。インターフェロンγ(IFN-γ)は、主にT細胞やナチュラルキラー(NK)細胞から産生され、免疫系に対して調節作用を有することが知られている。歯髄炎の進行に伴いIFN-γが優位に増加していることが報告されており、歯髄炎の病態形成に重要な役割を果たしていると考えられる。 本年度は、石灰化誘導培地を用いた条件下で培養した歯髄細胞を象牙芽細胞様細胞として用い、NODリガンド刺激した象牙芽細胞様細胞のIFN-γに対する反応性、特にIL-6やCXCL10などの炎症関連因子発現への影響について検討を行った。 その結果、NODリガンド刺激した象牙芽細胞様細胞にIFN-γを共刺激させることで、IL-6およびCXCL10の産生は相乗的に増加すること、そして、その相乗効果はIFN-γ濃度依存的に増大することが確認された。さらに、象牙芽細胞様細胞からのIL-6およびCXCL10の産生量は、対照群である歯髄細胞の産生量に比べて高いことも確認された。以上の結果より、IFN-γは、象牙芽細胞様細胞の自然免疫反応を修飾している可能性が示唆された。 来年度は、TLRリガンド刺激した象牙芽細胞様細胞におけるIFN-γの影響、さらに象牙芽細胞様細胞におけるIDO発現についても検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに細胞が必要量確保できたため、本年度はβグリセロリン酸およびアスコルビン酸を含有したDMEMにて4週間培養し、象牙芽細胞様細胞へと分化させた細胞を用いて、予定通りNODリガンド刺激したヒト象牙芽細胞様細胞におけるインターフェロンγの影響について検討を行った。 γ-D-glutamyl-meso-diaminopimelic acid (iE-DAP:NOD1リガンド) またはmuramyl dipeptide (MDP:NOD2リガンド) とともにIFN-γにて象牙芽細胞様細胞を一定時間刺激し、培養上清中のIL-6およびCXCL10の産生量がIFN-γ濃度依存的に相乗的に増大することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
NODリガンドと同様に、TLRリガンド(Pam3CSK4:TLR2リガンド、E. coli LPS:TLR4リガンド)で刺激したヒト象牙芽細胞様細胞におけるインターフェロンγの影響について検討を行っていく。さらに、歯髄の最外層に位置する象牙芽細胞において、歯髄炎の病態形成および歯髄炎の進行にIFN-γがどのような役割を果たしているのかを検討するとともに、IFN-γと関連の深い因子であるインドールアミン酸素添加酵素(IDO)の発現についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表のための旅費を予算に計上していたが、成果発表が次年度となった。 次年度は、引き続き実験に必要な物品を購入する予定である。また、研究成果を公表するため、学会発表にかかる経費としても使用予定である。
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