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2017 年度 実施状況報告書

接着性覆髄剤を応用した新たなコンポジットレジン修復法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K11710
研究機関鹿児島大学

研究代表者

西谷 佳浩  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60325123)

研究分担者 星加 知宏  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (20609953)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード接着歯学
研究実績の概要

歯質への接着性、再石灰化促進作用、抗菌性を有する覆髄剤とその覆髄剤と一体化して重合硬化する充填材料の開発を目的として、今年度は1.化学重合型接着性覆髄剤の作製、2.覆髄剤と象牙質および充填用レジンとの初期接着性の解析、3.脱灰象牙質への石灰化促進作用の解析について検討を行った。その結果、1.については、MTA(Mineral trioxide aggregate)/2-HPMA(メタクリル酸ヒドロキシプロピル)に重合触媒としてTBB(トリブチルボラン)配合する覆髄剤を作製した。MTA/2-HPMAの配合比は6:4または7:3とした。2.の歯質との接着性については市販の覆髄剤と比較検討を行った。その結果、剪断接着強さはMTA6:4、MTA7:3、ダイカル、セラカルの順に2.44±0.62 MPa、1.81±0.15 MPa、0.49±0.08 MPa、0.11±0.09 MPaであり、MTA6:4が最も高い剪断接着強さを示した。覆髄剤と充填用レジン(ボンドフィルSB)との剪断接着強さは、MTA6:4、MTA7:3の順に6.82±0.68 MPa、5.02±0.73 MPaであり、試作の覆髄剤と充填用レジンは一体化して重合硬化することが可能であった。またMTAとモノマーの配合比は6:4が高い値であった。3.については、一定期間SBF(Simulated body fluid:擬似体液)に試料を浸漬した後に、覆髄剤と接する歯質の硬度についてMTA6:4、MTA7:3、ダイカルを適用した場合のビッカース硬さを測定した。その結果、いずれの覆髄剤についても0~150μmの範囲で硬さが増加する傾向を認めた。界面の形態観察結果からは、材料間による違いは明らかではなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定の研究について計画通りに進捗している。試作する覆髄剤については、当初MTAとモノマーの比率を5:5と計画していたが、5:5を中心に配合比を変更した条件で試料作製を行った結果、操作時間、操作性および歯質と充填用レジンへの接着性の結果から、6:4の配合比が理想的であることが導かれた。歯質および充填用レジンとの接着試験については、剪断接着強さについて試験を行い、研究成果を得た。実験にはウシ抜去前歯を使用した。覆髄剤による脱灰象牙質への石灰化促進作用についてもビッカース硬度計により測定を行った。接着界面近傍の硬さについての詳細なデータを得るうえで、10μm毎の測定を行った。さらなる詳細な解析方法についても検討を始めている。また有髄歯に適用される覆髄剤であることから、歯髄細胞への影響についても検討を始めるとともに、覆髄剤の抗菌性を検討するための予備実験についても行った。

今後の研究の推進方策

今後は人工う蝕象牙質を作製して、Streptcoccus mutansに対する覆髄剤の抗菌性について検討を行う。そのための予備実験の結果から、抜去歯表層にヒト唾液をコーティングすることが望ましいことから、鹿児島大学においてヒト唾液試料を本研究に使用するための研究倫理申請中である。覆髄剤と歯質との接着性については長期間水中浸漬した場合について検討を予定している。う蝕影響象牙質をシミュレートした脱灰象牙質への石灰化促進作用についても長期間水中浸漬した場合の硬さをはじめ、接着界面近傍の石灰化物の沈着の有無についても検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] ポルトランドセメント含有接着性根管充填用シーラーの細胞増殖への影響2017

    • 著者名/発表者名
      達山 祥子、高 裕子、勝俣 愛一郎、梶原 武弘、星加 知宏、今井 弘一、西谷 佳浩
    • 雑誌名

      日本再生歯科医学会誌

      巻: 15 ページ: 3~9

    • DOI

      https://doi.org/10.11223/jard.15.3

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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