研究課題/領域番号 |
17K11712
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
松田 康裕 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50431317)
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研究分担者 |
奥山 克史 朝日大学, 歯学部, 講師 (00322818)
阿部 薫明 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40374566)
山本 洋子 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (60448107)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ナノコンポジット / PIXE/PIGE法 / 抗菌性 |
研究実績の概要 |
超高齢化社会への変化とともに根面う蝕は増加の一途をたどっており、さらに口腔内常在菌のよる誤嚥性肺炎の予防も重要な課題の一つである。ZnとCuの両元素のナノ複合粒子であるZnO/CuO ナノコンポジットは抗菌作用、抗真菌作用が認められており、さらに細胞毒性がZnO、CuOよりも少なく、低濃度であれば細胞活性に影響がないことが無いことが報告されている。さらに、ZnとCuは象牙質のコラーゲンとアパタイト結晶核を保護し、象牙質の劣化を抑制することが近年明らかになっている。本研究では象牙質再石灰化能もあわせもつ新規ZnO/CuO-NCをこれまでの研究手法を応用し分析することのより、新規歯科材料の開発を行うものである。 本年度は新規フッ化物含有ZnO/CuO ナノコンポジットの開発と、その抗菌性について検討した。硫酸銅、塩化亜鉛溶液とフッ化ナトリウム溶液を用いた共沈法によりフッ素含有の新規ナノコンポジットを開発する事ができた。得られたフッ素含有ナノコンポジットはエネルギー分散型X線分光分析、走査電子顕微鏡を用いて分析を行ったところ銅、亜鉛、フッ素、塩素を含有した粒子であることが分かった。また、In-air マイクロPIXE/PIGE法による分析では3000ppm程度のフッ素を含有する事が明らかとなった。抗う蝕作用を想定し、Streptococcus-mutansをもちいた抗菌性の分析では、新規材料は抗菌性を示すことが明らかとなった。 また、ゲル状の塗布剤による耐酸性の分析では親水性ゲル剤のイオン供給効果が認められ保存学会誌にて論文発表を行った。この結果から新規材料をもちいたゲル塗布剤への応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画はおおむね順調に進んでおり、フッ素含有の新規ZnO/CuOナノコンポジットの開発も行うことができ、その抗菌性も確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
フッ素含有の新規ZnO/CuOナノコンポジットの抗菌性についてより細かく検討し、国際学会にて発表、論文発表を行う予定である。 脱灰抑制、再石灰化の分析には我々が開発したpHサイクル装置を用いた検討を予定している。 またそれに伴うエナメル質、象牙質への亜鉛、銅の動態分析はエネルギー分散型X線分光分析、走査電子顕微鏡とPIXE/PIGE法を用いた分析法を併用して行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の納入時期の関係でわずかに繰り越し金が発生した。本年度の消耗品の購入で使用する予定である。
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