研究実績の概要 |
ラット大動脈内皮細胞をラット内皮細胞成長培地にて培養しコンフルエントになったら1 x 104 cells/cm2 の濃度で6 well plateに継代する。サブコンフルエントになったらNd:YAG レーザーを5 spots (0.5 w, 20 pps, 30s/ spot)照射した。コントロールとしてレーザーを照射しない血管内皮細胞を用いた。 ラット下顎切歯の歯髄細胞を採取しPrimary culture の培養を37 ℃、5 %CO2にて行う。培地にはアルファ-MEM、10%子牛血清を加えたものを用いる。1週間でサブコンフルエントに達したら血管内皮細胞を1、歯髄細胞を3の割合になるようにレーザーを照射した歯髄細胞と共培養した。時間の経過とともに細胞の形態の変化を位相差顕微鏡にて観察する。培地交換後 14, 21日にてTotal RNA を調整しcDNAを作り修復象牙質形成に関与しているdspp, tgf-beta1,osteocalsin遺伝子の発現をRT-PCRにて調べた。Von Kossa染色、ALP活性の測定を行った。レーザー照射血管内皮細胞ー歯髄細胞では環状構造が認められたが、ALP活性やVon Kossa染色での石灰化noduleは認められなかった。 RT-PCRにて歯髄細胞の石灰化に関与する遺伝子(dspp, tgf-beta1, osteocalsin)の発現が減少していた。 歯髄では血管周囲に幹細胞が存在し、炎症のために血管が拡張し幹細胞の象牙芽細胞への分化が促進されると推測されたが今回の結果からレーザー照射によって血管内皮細胞に炎症を起こし歯髄細胞と共培養させたが歯髄細胞の象牙芽細胞様細胞への分化を促進しなかった。 しかし、レーザーを照射した血管内皮細胞では環状構造が認められたため歯髄組織の微小血管の構築を促進した可能性が示唆された。
|