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2018 年度 実施状況報告書

難治性根尖性歯周炎原因細菌によるEpstein-Barrウイルスの再活性化

研究課題

研究課題/領域番号 17K11717
研究機関日本大学

研究代表者

武市 収  日本大学, 歯学部, 准教授 (10277460)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード難治性根尖性歯周炎 / 歯根肉芽腫 / Epstein-Barrウイルス / Fusobacterium nucleatum / BZLF-1 / 酪酸 / ルシフェラーゼアッセイ / ZEBRA
研究実績の概要

1.材料と方法および結果 ①供試試料:根尖病巣組織25例および健常歯肉組織10例を外科的に採取したのち3分割し、パラフィン切片の作製、DNAおよびRNA抽出に供試した。本研究は日本大学歯学部倫理委員会の審査を経て実施の許可を得ており(許認可番号:EP16D026)、試料採取の前に研究内容の概略や試料採取の際に不利益を生じないことなどを説明の上、患者から同意文書への署名を得た。②病理組織学的検索:ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、歯根肉芽腫組織を以後の検索に供試した。③ルシフェラーゼアッセイ:難治性根尖性歯周炎関連細菌7菌種を好気または嫌気培養したのち培養液を回収し、高速液体クロマトグラフィーを用いて酪酸量を定量したところ、Fusobacterium nucleatumが高濃度の酪酸を産生することが確認された。また、少量であるがPrevotella intermediaからも酪酸産生を確認したがCandida albicansやEnterococcus faecalisからは酪酸が産生されないことが明らかとなった。ルシフェラーゼ発現ベクターを遺伝子導入したB細胞(B95-8-221Luc細胞)を用いてルシフェラーゼアッセイを行ったところ、F. nucleatumの培養液の添加によって明瞭なBZLF-1発現が誘導された。④EBVおよび難治性根尖性歯周炎関連細菌7菌種の定量的検出を行ったところ、歯根肉芽腫および健常歯肉組織から様々な程度で検出されたが、EBVとEnterococcus faecalisのみ健常歯肉組織からは検出されなかった。⑤免疫染色:歯根肉芽腫中にZEBRAの発現細胞を確認した。
2.結論 以上のことから、難治性根尖性歯周炎関連細菌の中ではF. nucleatumが最もBZLF-1発現を誘導することが明らかとなり、EBVの再活性化に関与する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

行った研究方法について熟知しているため、研究条件を決定するための予備実験を行うことで、時間を無駄にすることなく研究を遂行することができた。加えて、研究当初に計画した内容に従って、計画的に研究を行っており、遅滞なくデータを得ることができた。
しかし、供試試料数があまり多くないことから、患者からより多くの試料を得ることによってデータの信ぴょう性を高めることが必要であると思われた。平成31年度はさらに供試試料数を増やし、より信頼性の高いデータを得る所存である。

今後の研究の推進方策

供試試料を増やし、データの蓄積をはかる。すなわち、引き続き歯根肉芽腫と健常歯肉組織を採取し、EBVのコピー数および難治性根尖性歯周炎関連細菌7菌種の細菌数を定量的に解析する。また供試試料を用いてreal-time PCR法によるBZLF-1 mRNA発現を検索するとともに、ウェスタンブロット法によりZEBRA発現を検索する。加えて、EBVのコピー数とBZLF-1発現の相関性や難治性根尖性歯周炎関連細菌の数とBZLF-1発現量の相関性などをPerson's correlation coefficientを用いて検索する。
再活性化したEBVによりサイトカイン発現が誘導されるかどうかを検索するため、供試試料を用いてインターロイキン1ベータとインターフェロンガンマのmRNA発現をreal-time PCR法で検索する。また、難治性根尖性歯周炎関連細菌の培養液から菌体内毒素(リポポリサッカライド:LPS)を除去したのち、Daudi細胞(EBV感染B細胞cell line)に添加し、サイトカイン発現を定量的に検索する。

次年度使用額が生じた理由

消耗品を定価で計算し支出していたが、キャンペーンを利用したため、実際の支払額はそれよりも割り引いて請求されることがあった。そのため、予想していた使用額よりも実際の使出額が若干低くなり、余剰金が生じてしまった。
余剰金の使用に関しては、消耗品を購入する予定である。すなわち、平成31年度においても平成30年度と同様に根尖病巣組織と健常歯肉組織を採取し、BZLF-1やZEBRA発現を検索するため、遺伝子解析用試薬や抗体などの消耗品が必要となる。採取試料数が多くなることが予想されるため、余剰金は消耗品費として使用することを計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Porphyromonas endodontalis reactivates latent Epstein-Barr virus.2018

    • 著者名/発表者名
      Makino K, Takeichi O, Imai K, Inoue H, Hatori K, Himi K, Saito I, Ochiai K, Ogiso B
    • 雑誌名

      International Endodontic Journal

      巻: 51 ページ: 1410-1419

    • DOI

      doi: 10.1111/iej.12959.

    • 査読あり
  • [学会発表] 難治性根尖性歯周炎関連細菌とEpstein-Barr virusの関連性2018

    • 著者名/発表者名
      氷見一馬、武市 収、羽鳥啓介、工藤 洋、田中 一、今井健一、小木曽文内
    • 学会等名
      第70回日本大学歯学会総会
  • [学会発表] EBV reactivation by refractory apical periodontitis-related bacteria2018

    • 著者名/発表者名
      Kazuma Himi, Osamu Takeichi, Keisuke Hatori, Hiroshi Kudo, Hajime Tanaka, Kenichi Imai, Bunnai Ogiso
    • 学会等名
      96th General Session and Exhibition of the International Association for Dental Research
    • 国際学会
  • [学会発表] Fusobacterium nucleatumは歯根肉芽腫に潜伏感染したEpstein-Barr virusを再活性化する2018

    • 著者名/発表者名
      氷見一馬、武市 収、羽鳥啓介、牧野公亮、工藤 洋、田村隆仁、田中 一、今井健一、小木曽文内
    • 学会等名
      第149回秋季日本歯科保存学会

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公開日: 2019-12-27  

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