研究課題
本研究は直接覆髄・断髄、さらには歯髄再生、根尖性歯周炎や歯周病により破壊・吸収された骨や歯周組織の再生に有効な光硬化型スキャホールドを開発することを目的としている。スキャホールドには材料の安定性が求められているが、その一方で創傷治癒まで速やかに消失する必要があるという相反する特性を実現する必要がある。本年度は可視光硬化型ゼラチンが上記機能を有しているかどうかの確認を行った。1.可視光硬化型ゼラチンは光増感剤としてローズベンガルを使用していたが、今回リボフラビンを光増感剤として硬化実験を行った。その結果リボフラビンでゼラチンは硬化することが確認された。またゼラチンの種類によってはローズベンガルがリボフラビンより硬度が高いことが確認された。ローズベンガルの毒性はマウスの急性毒性LD50が腹腔内投与で0.46g/Kgであるのに対し、リボフラビンは無害であるため口腔内での適用を考えるとローズベンガルより有用であると考えられる。2.可視光硬化型ゼラチンの含有されるエンドトキシンの量を計測した結果、1gあたり2100EUであった。骨再生に岩崎らが使用した低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムに含有されるエンドトキシン量は5.76EU/gであるため、可視光硬化型ゼラチンに含有されるエンドトキシンを低下する必要があることが明らかとなった。3.生理食塩水を使用することにより可視光硬化型ゼラチンの粘性が増加することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
本研究では直接覆髄・断髄、さらには歯髄再生、根尖性歯周炎により破壊・吸収された骨や歯周組織の再生に有効な光硬化型スキャホ―ルドを開発することを目的としている。本年度は可視光硬化型ゼラチンに求められる物性すなわち安全性について評価を行った。その結果、ローズベンガルに代わってリボフラビンを使用することにより安全性を向上できなおかつローズベンガル使用時と同程度の物性を有する硬化体を作製することが確認された。可視光硬化型ゼラチンに含有されるエンドトキシンについては除去する必要があることが明らかとなった。
本研究では以下の項目を通して直接覆髄・断髄さらには歯髄再生、根尖性歯周炎により破壊・吸収された骨や歯周組織の再生に有効な光硬化型スキャホールドを開発することを目的をしている。すなわち(1)材料の調整および最適化(2)覆髄・歯髄再生能評価(3)歯周組織再生能評価である。平成29年度は(1)材料の調整および最適化について一定の評価を得ることができたが引き続きこの項目については実験を継続していく予定である。また平成30年度は(2)覆髄・歯周組織再生能評価についての実験を開始する。
(理由)当初、調整した試料の分析等のための機器使用料を計上していたが機器使用料が発生しなかったため次年度繰越となった。(使用計画)繰越金は試薬類、器具類に加える予定である。
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Scientific Report
巻: 8 ページ: 8
10.1038/s41598-018-19316-y
Nano Biomedicine
巻: 9 ページ: 112-116
https://doi.org/10.11344/nano.9.112