研究課題/領域番号 |
17K11738
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
冨士 岳志 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (20549323)
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研究分担者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
日原 大貴 東北大学, 大学病院, 医員 (60781292)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロスケールミスト / 口腔プラーク / ハイドロダイナミクス / 客観的口腔清掃状態評価法 |
研究実績の概要 |
本研究は、マイクロスケールミストによる口腔清掃機器の開発にあたり、その効果を客観的に評価する方法の確立を目指しており、その基礎的研究として、画像解析による数値化を図ることを目的とした。平成29年度に予備実験として同一患者に対して、染め出し後のPCR(Plaque Control Record)測定を行ったところ、歯科医師間においてPCR測定値の違いが生じた。そのため、平成30年度は複数の患者に対して各歯科医師が測定したPCR値と、画像処理により抽出されるプラーク染色面積の相関を検討することで、各歯科医師の判断基準の違いに影響する因子を検討することとした。因子としては、術者の年齢、性別、視力等を具体的に検討している。また、客観性を持たせるために、自動測色計を購入し、歯科医師の判色と自動測色計による判色の相関を検討している。予備実験において、染色方法や染色後の含漱回数によって、染色の程度や、それに伴う口腔内撮影条件も変更する必要があることが判明したが、これらを固定することで再現性のある口腔内撮影が可能となり、同一患者で複数枚撮影しても、画像処置による染色面積には違いが認められなくなった。また、被染色体である歯牙の色調が、染め出し液による染色(画像処置による閾値)に与える影響について検討するため、シェードガイドを購入し検討を行った。その結果、色調の違いが、画像処理の際の染色閾値の設定に影響を与えること、実際の口腔内測定において、自動測色で予め被試験歯を測定する等により、補正が必要であることが示唆された。また、本研究は、歯科治療の一環であるが臨床研究に該当し患者情報を含むため、倫理委員会に助言を求めたところ、改めて申請が必要である可能性が高い旨の助言を受け、申請を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究機関の異動があったため、研究備品関連の購入や、消耗品の購入等による研究環境の整備が必要であったため研究の開始が遅れていた。現在は環境も整っているが、前研究機関からの機材の持ち出しが特許等により困難なため、本医療機器開発に関連する研究内容について、分担者と改めて研究打ち合わせ行い、ようやく今後の方向性について固まったところである。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度(令和元年度)は、予備データの蓄積を図り、各歯科医師の判断基準の違いに影響する因子を検討することとし、得られたデータから、ある程度主観を除外しすべての歯科医師の判断基準の統一化を模索する。また、被試験歯の色調の違いから、画像処理の染色閾値の設定の変更を行い結果の補正を行うことで、客観性を持たせることを検討する。染色の違いには、細菌叢の違いが影響することも知られていることから、次の段階として、現在は健全歯のみで実施しているが、被試験歯の修復の有無も含めて検討を行う。また、早急に倫理委員会への申請を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度も、人件費および謝金を計上していたが、人員が充足し、また既存の機器での代替が可能であったため、当初予算よりも抑えることができ、次年度使用額が生じた。平成31年度(令和元年度)に、更なる環境の整備と学会発表等に充当する予定である。
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