研究課題/領域番号 |
17K11739
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三浦 賞子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60431590)
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研究分担者 |
江草 宏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30379078)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | モノリシックジルコニア / リスクファクター / 前向き臨床研究 / CAD/CAM |
研究実績の概要 |
本研究では,モノリシックジルコニアクラウン・ブリッジ治療の前向き臨床調査を行い,発生したトラブルおよび臨床的有用性の検討を行った. 対象は,2014年4月から2017年12月までの45か月間に,東北大学病院咬合修復科において,臨床経験5年以上の歯科医師4名が,顎口腔機能の異常とその既往を認めない患者に装着したモノリシックジルコニア補綴装置とした.対合歯の欠損した症例は除外した.治療開始,補綴装置装着およびリコール時に,補綴装置,支台歯および対合歯における臨床的トラブルの有無を診査した.臨床的アウトカムを短期予後に設定し,主要エンドポイントを3年累積成功率および補綴装置の累積生存率とし,Kaplan-Meier法を用いて解析した. 調査対象の補綴装置は,クラウン35装置,ブリッジ7装置であった.対象患者は13名(男性3名,女性10名)で,装着時平均年齢は54.5歳であった.追跡期間は最大3.7年(平均1.4±1.0年)であった.その間に発生した臨床的トラブルは3症例(11.6%:クラウン2症例,ブリッジ1症例)で,2症例が対合歯の歯質部分破折(チッピング),1症例が装着したクラウンの破折であった.トラブルが発生した3症例はすべて最後臼歯への適用であった.対合歯のチッピングは,それぞれ装着後0.1年と0.7年に生じ,対合歯にはいずれもインレーが装着されていた.治療の3年成功率は88.9%(95%信頼区間:68.8-96.7%),補綴装置の生存率は94.1%(95%信頼区間:68.0-99.2%)であった. 本研究の結果から,モノリシックジルコニアクラウン・ブリッジを最後臼歯へ適用する際には,支台歯のクリアランスや対合歯の状態について特に十分な検討が重要であると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初の予定よりもモノリシックジルコニア修復治療を希望する患者の獲得には至らなかった.その理由の一つとして,ハイブリッドレジンによるCAD/CAM冠の健康保険収載が影響していると予想される.新たに3ユニットファイバー補強ブリッジが保険導入されたため,対象者のリクルートを継続して行い,症例数の増加を図る.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,東北大学病院歯科咬合修復科を受診し,小大臼歯部における歯冠補綴治療が必要であり,かつモノリシックジルコニア修復を希望した患者を対象としている.したがって,当科の研究協力歯科医師の増加を図ることで,対象者の拡大を図りたいと考えている.具体的には,研究協力施設の拡大とそれに伴う患者の増大を試みる. 新たに保険導入された大臼歯CAD/CAM冠や三ユニットファイバー補強ブリッジなどとは違った高強度セラミック材料として,症例選択を確実に行い,患者獲得を図りたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画よりも対象患者数の獲得が少なかったため,物品費等の費用が少なかったためと考えられる. 引く続き患者のリクルートを行う.また,研究協力施設への協力依頼を図る.
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