研究課題
近年メタルフリー修復治療の選択肢の一つとして,ジルコニア単一で修復が行えるモノリシックジルコニアクラウン・ブリッジが台頭し,その需要は拡大している.しかしながら,ジルコニアはエナメル質や長石系陶材と比較して硬度が高いため,モノリシックジルコニア補綴装置の装着後には,対合歯の摩耗や損傷が懸念されている.本研究では,モノリシックジルコニアクラウン・ブリッジ治療の前向き臨床調査を行い,発生したトラブルおよび臨床的有用性の検討を行った.本研究は,東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会の承認を受けて行われた(承認番号:26-17).調査対象の補綴装置は,クラウン35装置,ブリッジ7装置であった.対象患者は13名(男性3名,女性10名)で,装着時平均年齢は54.5歳であった.追跡期間は最大3.7年(平均1.4±1.0年)であった.その間に発生した臨床的トラブルは3症例(11.6%:クラウン2症例,ブリッジ1症例)で,2症例が対合歯の歯質部分破折(チッピング),1症例が装着したクラウンの破折であった.トラブルが発生した3症例はすべて最後臼歯への適用であった.治療の3年成功率は88.9%(95%信頼区間:68.8-96.7%),補綴装置の生存率は94.1%(95%信頼区間:68.0-99.2%)であり,我々が報告したジルコニアオールセラミック単冠修復の5年成功率(96.9%),生存率(98.5%)1)と比較すると低い値であった.継続的にインターオクルーザルレコードが得られた患者8名における咬合接触面積について,明らかな経時的変化は認めなかった.本研究の結果から,モノリシックジルコニアクラウン・ブリッジを最後臼歯へ適用する際には,支台歯のクリアランスや対合歯の状態について特に十分な検討が重要であると考えられる.今後さらなるエビデンスの蓄積が必要である.
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