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2017 年度 実施状況報告書

嚥下と義歯の関連を基盤とした急性期・回復期・維持期の口腔機能管理による食支援

研究課題

研究課題/領域番号 17K11740
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

古屋 純一  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10419715)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード義歯 / 嚥下 / 咀嚼 / 高齢者 / 食事支援
研究実績の概要

平成29年度は、急性期病院の歯科、回復期病院の歯科、維持期の在宅・施設訪問を行っている歯科において、高齢者のステージに適した食支援のための口腔機能管理の在り方を模索するために、各該当施設における研究協力者と、連絡調整と研究打ち合わせを行い、マルチセンターリサーチが実施できる体制を構築し、予定していた8施設で調査を行う準備が整ってきている。
また、研究主施設である本学および一部の研究協力施設において予備調査を行い、マルチセンターリサーチに用いるCase report formをブラッシュアップした。研究協力施設においては、急性期および維持期における症例集積を行い、義歯と嚥下の関連について検証した。
本学における予備調査では、急性期病院である本学附属病院に入院中の患者で、口腔機能管理や食支援に関連する歯科の関わりがあった患者122名を対象として、診療・カンファレンス記録の中から、全身状態や口腔機能に関する調査を行った。口腔に関する調査項目は、口腔環境の包括的評価、歯数、咬合支持状況、嚥下障害の重症度(DSS)、栄養摂取法(FOIS) 、等とした。
その結果、口腔環境は、舌、唾液、義歯、口腔清掃の項目で50%以上が良好ではない状態であった。歯数は平均18.2本とやや少ないが、義歯の使用は、必要だが使用なしが49.2%、使用ありが8.2%であった。DSSの中央値は4.5、FOISの中央値は4であり、栄養摂取が経管のみは39.8%であった。急性期病院に入院する患者では、歯の欠損や嚥下障害が多く、食事摂取のためには義歯装着が重要な要素となるが、不適合による使用困難や不所有が多く、義歯や咀嚼、嚥下を含めた口腔機能管理が必要と考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度はマルチセンターリサーチの実施体制の構築に時間を要した。その一方で、調査項目のブラッシュアップと調査体制の検証を目的に、予備調査として単施設にて行った横断調査は順調に進んでおり、調査項目や調査体制が予備調査と同様の形式で実施可能であることが明らかとなったことから、概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成30年度の研究の推進方策として、平成29年度の結果を踏まえてマルチセンターリサーチの準備を整え、急性期、回復期、維持期の患者登録をすすめる。患者登録状況の結果の中間まとめを行い、必要に応じて、研究協力施設を増やして、患者登録数のバランスを調整する必要がある。また、縦断調査による症例集積を行い、義歯と嚥下の関連による歯科医療の効果についての調査も検討していく。遠方の施設にも協力を依頼しているため、地域偏在性を認めた場合には、都市型・地方型での検証や、研究協力施設の増加によって、対応する予定である。
平成31年度は、平成30年度の調査を継続しながらこれまでの研究結果をまとめ、特に、歯科介入前後の変化に焦点を当てて研究を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度には、各研究協力施設における研究打ち合わせを複数回行う予定であったが、学会参加をかねて研究打ち合わせを行うことで、旅費を削減することができたため、次年度使用額が生じた。また、予備調査における消耗品については、現有の物品でまかなうことができたため、次年度使用額が生じた。平成30年度においては、研究打ち合わせの旅費とマルチセンターリサーチの物品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 義歯と食事2017

    • 著者名/発表者名
      玉田 泰嗣, 古屋純一
    • 雑誌名

      臨床栄養

      巻: 130 ページ: 472-479

  • [学会発表] 多職種と地域で支える口腔機能と食支援.2018

    • 著者名/発表者名
      古屋純一
    • 学会等名
      2017年度日本赤十字社医療センターPCC
  • [学会発表] 大学附属病院NST依頼患者における口腔機能管理の必要性2018

    • 著者名/発表者名
      古屋純一, 松原ちあき, 清水行栄, 杉原華織, 大石純子, 大庭優香, 須賀洋子, 平野貴士, 瀬戸さやか, 磯部清志, 川村雄大, 侭田悦子, 井津井康浩, 斎藤恵子, 中島康晃
    • 学会等名
      第33回日本静脈経腸栄養学会学術大会
  • [学会発表] Dentures and swallowing2017

    • 著者名/発表者名
      Junichi Furuya
    • 学会等名
      The IFED 2017 World Congress in Toyama
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 胃瘻造設後のLewy小体型認知症患者に対して在宅にて食支援を行った一例2017

    • 著者名/発表者名
      郷田瑛,徳永淳二,松原ちあき,古屋純一.
    • 学会等名
      第23回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会
  • [学会発表] 急性期病院入院患者における義歯の使用と栄養摂取状況2017

    • 著者名/発表者名
      原淳,玉田泰嗣,古屋純一,松木康一,安藝紗織,山本尚徳,佐藤友秀,小野寺彰平,五日市純宏,城茂治,近藤尚知.
    • 学会等名
      日本老年歯科医学会第28回学術大会

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公開日: 2018-12-17  

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