研究課題/領域番号 |
17K11746
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
和田 誠大 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (20452451)
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研究分担者 |
奥野 幾久 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (30362677)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インプラント / 口腔機能 / 栄養摂取 |
研究実績の概要 |
近年,高齢者の低栄養が問題になっており,要介護者・要支援者のおよそ30%が栄養改善を必要とするとの報告もある.低栄養は,衰弱のみならず,免疫力の低下,骨の脆弱化,そしてサルコペニアの危険因子であり,補綴治療,特にインプラント治療の果たす役割は非常に大きい.これら背景からインプラント治療による栄養摂取を含めた包括的な機能改善効果を明らかにすることは非常に重要である.本研究では,これらの点を踏まえ,唾液分泌,味覚,口腔感覚や嚥下機能など様々な口腔機能へのインプラント治療の効果ならびに食品の摂取可能度や嗜好(好き嫌い)の変化,栄養摂取状況についての包括的な検討を行うとともに,影響が大きいと考えられる摂食指導の介入効果の検証を目的とした.具体的には,大阪大学歯学部附属病院にインプラント治療を希望し来院した患者を対象とし,各種口腔機能,各栄養素の摂取量に基づく栄養調査,全身評価および栄養指導の効果についてベースライン(治療前)を基準に2年間の縦断調査を有床義歯患者の比較とともに行うこととした. 研究初年度の本年は,可撤性義歯装着患者35名,固定性インプラント補綴装置装着患者20名,可撤性インプラント補綴装置装着患者13名のベースライン時ならびに補綴装置装着後における各口腔機能評価,患者満足度,認知既往評価,体組成評価ならびに栄養評価を終了している.今後さらに対象患者の評価を行うとともに,すでに補綴治療が終了した患者に対しては,ランダムに2群に振り分けたうえで,一方については管理栄養士による栄養・摂食指導を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画時に予定した患者のうち,可撤性義歯装着患者ならびに固定性インプラント補綴装置装着患者数については十分確保ならびに測定できている.一方で可撤性インプラント補綴装置装着患者数が現状やや少ないものの,同処置を本年度に施行予定である患者がすでに5名存在していること,また今後も処置希望患者が増加する見込みがあることから,概ね研究の進捗は順調であると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
すでに補綴装置を装着した患者に関しては,研究計画通りに管理栄養士による栄養・摂食指導介入に順次移行していく.これら患者は予定通り最大2年間の縦断調査となる.合わせて本年度も新たな各治療患者の追加を行い,母集団の増加を行う.最終年度においては,積極的な新たな患者のリクルートは行わず,縦断調査の継続とともに,統計学的分析を行い,それぞれの口腔機能や栄養素の摂取に対するインプラント治療の影響を明らかにする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象患者が研究計画時よりわずかに少なくなったため,口腔機能検査,栄養調査ならびに認知機能評価にかかわる調査費用が予定より少なくなったことより,次年度使用額が生じた.次年度も引き続き,新たな患者が見込まれるため,各種機能評価費として使用する予定である.
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