研究課題/領域番号 |
17K11748
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
原 哲也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (60238160)
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研究分担者 |
田仲 持郎 昭和大学, 歯学部, 講師 (40171764)
皆木 省吾 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (80190693)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 骨補填 / 光重合 / ビニルエステル / BMP |
研究実績の概要 |
ジビニルエステルモノマーとしてアジピン酸ジビニル(DVA),重合開始剤には光増感剤としてカンファーキノン,重合を促進する還元剤としてⅢ級アミンを用い,光重合用DVAには重合開始剤を5%添加した。多孔性を有する材料としてコラーゲンスポンジ(Col)を用いた。 物性試験用としてColを2×2×25mmに切断した試料とその表面を光重合用DVAでコーティングしたDVA/Col試料を作製して3点曲げ試験を行った結果,DVA/Col試料はCol試料に比べて有意に機械的物性が向上していた。また,動物埋入用として,Colをφ8mm厚さ2mmに切断し,表面を光重合用DVAでコーティングしたDVA/Col試料(D群)と,BMPを溶解させた光重合用DVAによって表面コーティングしたDVA+BMP/Col試料(DB群)を作製した。これらの試料をWistar系雄性ラットの頭蓋骨上正中に位置づけて埋入した。術後1,2および4ヶ月後に各群5匹ずつを屠殺し,頭蓋骨ごと試料を採取し,病理組織学的観察ならびに骨形態計測による骨量(BV/TV)%を算出した。 D群およびDB群試料は4ヶ月後においても骨膜下で試料の形態を保っていたことから,本試料は骨再生の足場としての強度を有することが示された。動物埋入試験において,D群とDB群では全観察期間において部分的に既存骨表面から試料内部への新生骨の形成が認められた。骨量(BV/TV)%はD群,DB群ともに2ヶ月後および4ヶ月後において1ヶ月後よりも有意に増加した。D群では2ヶ月後までは新生骨量は増加したが,その後はほぼ同程度であった。一方,DB群の新生骨量は観察期間を通して増加した。D群とDB群の新生骨量を比較すると,1ヶ月後および2ヶ月後には有意差を認めなかったが,4ヶ月後にはDB群ではD群より有意に高値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は動物埋入試験を行いその結果をまとめることを予定していたが,上述のように予定通り動物埋入試験の結果を得ることができ,本研究の試料が骨補填剤として有用である可能性が示唆されたことから,本研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
PDVAブロック上で骨芽細胞の培養を行い石灰化試験を行う。これまでの結果と石灰化試験の結果を総合的に検討するとともに,過去の文献との考察を行い研究の総括を行う予定である。
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