研究課題/領域番号 |
17K11755
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
荻野 洋一郎 九州大学, 歯学研究院, 講師 (50380431)
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研究分担者 |
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究院, 教授 (50195872)
鮎川 保則 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50304697)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インプラント / ぬれ性 / 表面形状 / 細胞形態 / RhoA |
研究実績の概要 |
本年度は様々な表面形状を持つチタンディスクの作製と各表面形状におけるぬれ性の経時的変化を測定と細胞形態の観察を行った。作製した表面形状は純チタン(タイプⅣ)を用いて①スムース(SM:研磨のみ)、②サンドブラスト処理(SA:サンドブラスト処理のみ)、③マイクロレベル(M:SAに塩酸処理)、④ナノレベル(N:SAに硫酸+過酸化水素処理)とした。ぬれ性は前年度同様にSM>SA>M=Nとなったが、経時的にはMは即座にぬれ性の低下を認めた一方でNはゆったりとしたぬれ性の低下となった。しかし、56日経過後にはぬれ性はどの群でも低下し、各群で有意差はなかった。また、前年度に検証した元素分析でも同様に原因となる元素の検出はできなかった。 作製したチタンディスク上に細胞(MC3T3-E1)を播種し、細胞形態の観測を行った。細胞はSM上では比較的丸みを帯びた形態を示すのに対し、SA、M、Nでは細胞は突起を有する形態を示した。これは過去の我々の研究結果と一致した。ぬれ性が低下したディスク上で細胞形態を観察すると、SM上では細胞の伸展が阻害され、細長い形態に変化した一方で他の3種のディスク上では細胞形態に変化をきたさず、ほぼ同様の形態を示した。これより、ぬれ性による細胞形態の制御はディスクの表面形状により異なることが示された。また、それぞれのディスク上で細胞骨格制御に関与するRhoAの発現を計測したころ、ぬれ性の良い状態では、SM<SA,M,Nとなったのに対し、ぬれ性が悪くなると、すべてのディスク上でRhoAの発現は高まり、細胞形態の変化とは異なる挙動を見せることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書にそった研究の遂行ができているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は表面形状、ぬれ性の異なるディスク上での骨への分化実験を検討している。現在まで、細胞の状態が好ましくなく、分化が悪いために新たな細胞の購入を検討している。また、分化能と細胞骨格、その制御因子であるRhoAの関与を解明するためにRhoAの阻害因子の応用やタンパクのコーティング効果などについても検討を行う予定である。
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