現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腫瘍や外傷などを起因として,広範囲な顎骨欠損を余儀なくされた場合,その後の患者のQOL 向上には顎義歯を装着することになるが,顎骨欠損となった場合,顎義歯の安定要素である支持・把持・維持を求めることが極めて困難となり,口腔機能が思うように改善できない場合も多々認められる.一方,現在歯科インプラント治療は臨床現場で数多く使用され,コンベンショナルな補綴装置における支台装置と比較し,そのメリットが基礎的かつ臨床的にも確認されている. しかし,顎義歯におけるインプラント治療の有効性を明らかにした報告は少ないことから,今回,それらを確認するために本研究を進行しているが,おおむね順調に進展していると考えている.ただし,インプラントを応用した顎義歯症例数が当初の計画に比較し,集積されないため,当初の計画以上の進展とは言えないのが現状である.そこで,文献検索からインプラント治療が顎義歯に有効か否かを分析した結果,概ね有効であると判断できるものの,エビデンスレベルは決して高くないことが確認され,本法におけるエビデンスの集積が重要であるものと考えられる.また,本実験結果はすでに総説として学術雑誌に投稿し掲載許可を受けている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にもあるように1顎義歯症例における咀嚼能力検査,2インプラント症例における咀嚼能力評価,3インプラント支持顎顔面補綴装置症例の咀嚼能力評価の継続を予定している. さらには,研究計画にあるように研究代表者は,一般社団法人日本顎顔面補綴学会のガイドライン作成委員会に属しており,現在,本課題内容と同様の新規のガ イドラインを作成しているが,その一環から文献調査をもとに総説を学術雑誌に投稿し,掲載許可を得ている.今後は,別のQ&AやCQを包括したガイドラインを纏め,学会を通じて社会に公表する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は,学会活動の一部でもあるが,顎骨欠損患者に対するインプラント治療の有効性を文献調査から確認することを目的として主に活動してきたが,その結果を纏めて学術雑誌に投稿することができた.その反面,被験者個々の咀嚼能力評価が想定していたよりも遂行できなかったことから,本年も引き続き咀嚼能力評価の継続を予定している.そこで,咬合力測定用感圧シートであるデンタルプレスケール(ジーシー 社)購入する必要があり,これの購入および申請時に提示した消耗品,あるいはこれからの研究に必要となる物品の購入に際して,次年度使用額と本年度の予算支給分を合わせて適切に使用する予定である.
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