申請者らはすでに、口腔軟組織由来iPS細胞の樹立を終え、iPS細胞由来の間葉系前駆(様)細胞(iPSMSLC)への誘導も成功した。本申請では、iPS細胞からiPSMSLCのさらなる樹立効率を高める培養法を見出すとともに、iPSMSLCの安全性をゲノム異常と造腫瘍性とを関連させて明らかにする。 iPS細胞の培養、維持には完全フィーダーレス・シングルセル培養を行うため、理化学研究所からFeeder free培養iPS細胞の譲渡を受けた。DEF-CSD500培養液でフィーダーレス・シングルセル培養が可能であることを明らかにした。加えて、血清添加培養液では、iPSMSLCへの誘導に成功した。一方で、ゼノフリーDEF-CSD50は細胞増殖率が低くSTEMFiT(Ajinomoto)を試用して培養を行っている。 また、移植細胞の生存を改善する方策として新規細胞移植材料であるヒトI型コラーゲン様リコンビナントペプチドCellnestを利用し、間葉系幹細胞ならびに歯髄幹細胞を用いて培養を行ったところ融合体の作製が可能となった。 さらに、動物への細胞移植を行うため、下顎の下縁を覆って皮膚に切開を施した。下顎の中央の空間は下顎骨接合と呼ばれる。このラット顎裂モデルの作製にも成功した。顎裂モデルに作成した骨欠損へ培養骨の移植を行い、骨形成能の評価を行ったところ歯髄幹細胞から作成した融合体が有意に高い骨体積率を示した。
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