研究課題/領域番号 |
17K11772
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
東 華岳 産業医科大学, 医学部, 教授 (20273146)
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研究分担者 |
久保 金弥 名古屋女子大学, 家政学部, 教授 (00329492)
飯沼 光生 朝日大学, 歯学部, 教授 (70184364)
小野塚 実 神奈川歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (90084780)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 咀嚼刺激 / 精神ストレス / 乳がん |
研究実績の概要 |
2017年度は、当初の研究計画に従って以下の実験研究を行った。 1)マウス乳がんモデルの作成:ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231(ATCC)は、細胞培養プレート中のDMEMで培養し、細胞カウンターを用いて細胞濃度を決定する。2×106細胞をBALB/cヌードマウス(charles river)に接種した。 2)ストレス負荷:BALB/cヌードマウスは対照群、ストレス群と咀嚼刺激群の3群に分けて実験を行った。我々がこれまで行ってきた “いわゆる拘束ストレス法”を用いた。拘束ストレス負荷は、乳がん細胞接種前7日から開始し、1日に2時間のストレスを負荷し、これを4週間継続した。3)咀嚼刺激:ストレス負荷中に木製の爪楊枝をマウスの前歯に近づけ、マウスは自ら積極的に噛みつきチューイングを始める。この咀嚼刺激はストレス負荷と同じ、1日2時間4週間継続した。 4)乳がん腫瘍の数と大きさ、乳がんの発症率の観察と記録:ヒト乳がん細胞接種後に定期的に乳がん腫瘍の数と大きさを観察、記録した。ストレス負荷中の咀嚼刺激が乳がんの増殖と進行に及ぼす効果の解析を行った。その結果、無処置の対照群に比べ、ストレス群の乳がん腫瘍の体積が大きくなった。またストレス群より咀嚼刺激群の乳がん腫瘍の体積が小さくなった。5)乳腺組織の病理組織学的観察:実験終了後に、マウスの乳腺組織を採取し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン切片を作成し、HE染色を施して、光学顕微鏡を用いて乳腺組織の形態学的観察を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト乳がん細胞接種後にマウスの乳がんを形成したことは、想定した結果とほぼ一致している。しかし、接種細胞数が少なくて実験期間が短いので、形成された腫瘍が小さかった。そこで、接種細胞数を増やして、実験期間をのばして、がん組織が順調に発育している。
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今後の研究の推進方策 |
咀嚼刺激させたマウス(咀嚼刺激群)と咀嚼刺激させなかったマウス(ストレス群)において、ストレスホルモンの測定を行い、免疫組織化学法を用いて乳がん組織における血管新生状況や免疫細胞の浸潤などを比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験研究はほぼ当初の予定通りに進んでいる。 (理由)消耗品の試薬類を当初の計画時より安価で購入できたため。 (使用計画)未使用額27467円は次年度の研究成果発表に必要な国内旅費に充てることにする。
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