研究課題/領域番号 |
17K11775
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
真柄 仁 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90452060)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 三叉神経傍核 / 孤束核 / 嚥下 / ラット |
研究実績の概要 |
本研究は三叉神経傍核が咀嚼嚥下に果たす役割を明らかにすることを目的とし,29年度は三叉神経傍核が嚥下に及ぼす影響の検証を行った.実験には,7週齢のSD系雄性ラットを用いた.左側舌骨上筋および左側甲状舌骨筋に係留したワイヤー電極より筋活動電位を導出し,嚥下を同定した.また気管にカニューレを留置し,気流圧を記録することにより,呼吸サイクルを計測した.孤束核(nTS)および三叉神経傍核(Pa5)へグルタミン酸,GABA,グリシン関連薬剤を微小圧注出法により注入し,嚥下誘発効果を検証した.nTSにおいては,グルタミン酸受容体アゴニストであるNMDAおよびAMPA,GABAA受容体選択的アンタゴニストであるビククリンを注入した際に嚥下誘発が確認されたが,GABAB受容体選択的アンタゴニストであるCGP55845,グリシン受容体アンタゴニストであるストリキニーネでは,嚥下誘発効果を認めなかった.特にNMDAおよびAMPAにおいて,短潜時で嚥下が誘発されたことは,迷走神経および舌咽神経から孤束核内へグルタミン酸が放出され嚥下を誘発するという我々の仮説を支持する結果となった.一方,三叉神経傍核においては,NMDA,AMPA,ビククリン,CGP55845,ストリキニーネのいずれにおいても嚥下誘発効果を示さなかった.以上のように,今年度はnTSおよびPa5をターゲットとして,グルタミン酸,GABA,グリシン関連薬剤の嚥下誘発効果を検証した.今後は,咀嚼嚥下モデル動物を対象として,実験を行っていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は孤束核および三叉神経傍核へのグルタミン酸,GABA,グリシン関連薬剤の注入による嚥下誘発効の検証に成功した.今後,同様の手法により研究を進めていくことが可能と考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
咀嚼嚥下モデル動物を用いて孤束核および三叉神経傍核への薬物の微量注入を行い,三叉神経傍核が咀嚼嚥下に果たす役割の検証をしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)実験計画の見直しにより,購入予定だった備品のいくつかが不要となったため. (使用計画)次年度の動物購入にあて,多くのデータ収集を行う.
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