研究課題/領域番号 |
17K11775
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
真柄 仁 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90452060)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 三叉神経傍核 / 孤束核 / 嚥下 / ラット / 上喉頭神経 / 上皮型ナトリウムイオンチャネル |
研究実績の概要 |
本研究は三叉神経傍核が咀嚼嚥下に果たす役割を明らかにすることを目的とし,30年度は自然刺激嚥下の1つである機械刺激誘発嚥下の神経機序の解明を行った.実験には,6-9週齢のSD系雄性ラットを用いた.左側舌骨上筋および左側甲状舌骨筋に係留したワイヤー電極より筋活動電位を導出し,嚥下を同定した.また気管圧および食道入口部圧を同時計測し,それぞれ呼吸と嚥下圧の指標とした.喉頭(披裂間切痕)への機械刺激により誘発された嚥下閾値は,口腔(軟口蓋)および気管と比較して有意に低く,機械刺激に対して喉頭が鋭敏に嚥下を誘発することが確認された.さらに,喉頭に対する強い機械刺激の繰り返しによる嚥下応答低下(脱感作)は,弱い刺激と比較して容易に生じた.また,神経切断実験から,①上喉頭神経②舌咽神経③迷走神経咽頭枝④反回神経の4つが喉頭への機械刺激誘発嚥下に関与することが示され,特に上喉頭神経が主要な役割を果たしていることが示唆された.神経薬理学的実験から,上皮型ナトリウムイオンチャネル(ENaC)の阻害は機械刺激誘発嚥下を抑制し,化学・電気刺激誘発嚥下には影響ないことが確認された.一方,酸感受性イオンチャネルの阻害では機械刺激誘発嚥下の抑制効果は認められなかった.以上より,機械刺激誘発嚥下の応答特性および関連する末梢神経の同定に成功し,さらにENaCが標的受容体の1つであると考えられた.今後は,本研究で用いた刺激様式を使用して,咀嚼嚥下モデル動物を対象とした実験を行っていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は本研究課題に関連する神経機構の解明に成功した.本成果は,今後の実験の考察を深めることにつながると考えられる.今後は咀嚼嚥下モデル動物を用いて,三叉神経傍核(Pa5)への微小圧注出法を行っていく.
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今後の研究の推進方策 |
咀嚼嚥下モデル動物を用いてPa5への薬物の微量注入を行い,Pa5が咀嚼嚥下に果たす役割の検証を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)購入予定だった備品の多くが不要となったため. (使用計画)次年度の動物購入にあて,多くのデータ収集を行う.
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