研究課題/領域番号 |
17K11778
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐々木 淳一 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50530490)
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研究分担者 |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (80243244)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯科材料学 / 生体材料学 / 歯周組織再生療法 / 歯科用メンブレン / PLGA |
研究実績の概要 |
平成29年度では、まず、凍結乾燥処理を応用することによって層状構造を有するPLGAメンブレンの作製を試みた。その結果、段階的に凍結したPLGA溶液を凍結乾燥処理すると、密な層(外層)と網目状の疎な層(内層)からなる二層性PLGAメンブレンを作製できることが分かった。さらに、PLGA溶液の凍結温度を制御することで、外層の厚みを制御できることが明らかとなった。つづいて、試作した二層性PLGAメンブレンをレーザー顕微鏡を用いて観察したところ、外層の表面(外側面)は内層の表面(内側面)と比較して有意に表面粗さが低いことが分かった。また、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中における寸法安定性を評価したところ、PBSへの浸漬24時間で辺縁の長さが減少し、厚みが増加するものの、その後は寸法が安定することが分かった。このことから、試作メンブレンは湿潤環境において安定した材料であることが示された。 次に、機械的性質を検討した結果、試作層状メンブレンの引張り強さと引き抜き強さは市販のPLGAメンブレン(コントロール)よりも有意に小さいことが分かった。一方、縫合糸引き抜き試験における破断ひずみの結果はコントロールと差がなかったことから、試作メンブレンは縫合の際にはコントロールと同様に伸びやすい性質であることが確認された。さらに、臨床的な操作性を定量的に評価することを目的として、骨欠損模型に設置したメンブレンと模型間に形成される空隙をマイクロCTで観察した。その結果、試作メンブレンでは、コントロールと比較してメンブレンと模型間にできる空隙が有意に小さいという結果が得られた。以上の結果から、試作メンブレンは、すぐれた辺縁封鎖性を有しておりGTR用メンブレンとして有用である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度においては、凍結乾燥処理を応用することによる層状構造をもったPLGAメンブレンの試作、および層状メンブレンの構造や機械的性質、操作性を評価することを目的としていた。研究実績の概要に示した通り、凍結温度を制御したPLGA溶液を凍結乾燥処理することによって、層状構造を有したPLGAメンブレンを作製することに成功した。さらに、その物性を評価することで、層状メンブレンがGTR用メンブレンとして有用である可能性を示した。 以上のことから本研究は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、試作層状メンブレンを用いることで細胞挙動の制御が可能であるかを評価することを目的として、in vitroによる検討を行う。 1.層状メンブレンの各面における細胞増殖:試作メンブレンに骨髄由来間葉系幹細胞あるいは線維芽細胞を播種し、表面構造の異なる各面における細胞増殖率の違いを観察する。具体的には、10 x 10 mmに成形したメンブレンに各細胞を播種し、培養12日目までの経時的細胞数をWSTアッセイによって定量評価する。さらに、同様の試料についてSEM観察を行うことで、細胞がメンブレンに接着している様子を詳細に観察する。 2.層状メンブレンの各面における細胞分化:試作メンブレンの各面で間葉系幹細胞を骨系分化誘導した際の誘導効率を検討する。具体的には、各メンブレンに播種した間葉系幹細胞を骨芽細胞分化誘導培地を用いて7日間培養し、骨系分化マーカーであるアルカリフォスファターゼやオステオポンチンのmRNA発現をReal-time PCR 法で検討する。さらに、同様の条件で21日間培養した試料について、von Kossa染色を行うことで石灰化基質の産生量を評価する。これらの結果を総合的に評価することで、メンブレン各面における細胞挙動を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、本研究課題に関連する研究者や企業との数回の研究打ち合わせを実施する予定であった。しかし、操作性評価モデルの構築に時間を要したため、得られたデータを総合的に検討することを目的とした打ち合わせを平成29年度中に実施できなかったことから、次年度使用額が生じることになった。当該研究打ち合わせは今年度に実施する予定としており、本事項に係る旅費や成果発表(学会発表、論文発表)に係る費用は、平成29年度と比較して多く使用することを計画している。
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