これまでの研究で作製した二層性PLGAメンブレンが隔離膜材料としての機能性を具備しているか評価することを目的として、 in vivoによる検討を行った。具体的には、ラット頭蓋骨に形成した直径5 mmの骨欠損を試作メンブレンで被覆し、術後4または8週後にマイクロCTを用いて再生骨量を定量評価した。その結果、試作メンブレンを埋入した試料は、術後4週目では、市販PLGAメンブレンを埋入した試料と比較して再生骨量に有意差は認められなかったが、術後8週目においては再生骨量が有意に増加した。次に、摘出した頭蓋骨の脱灰試料からパラフィン包埋薄切切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色による組織学的検討を行った。その結果、移植4週目では、市販PLGAメンブレンと試作メンブレンのいずれにおいても、メンブレンが上皮組織の骨欠損部への侵入を遮蔽していることが明らかとなった。一方、移植8週目において、市販PLGAメンブレンが上皮組織の侵入によって分解されている様子が観察されたが、試作メンブレンでは上皮組織を遮蔽する機能は失われていなかった。 以上の結果から、二層性PLGAメンブレンの密な外層構造が上皮組織の侵入を長期間遮蔽し、さらに、疎な内層構造が組織再生に有利に働くことで、再生骨量が有意に増加したものと考えられた。本研究で試作した二層性PLGAメンブレンは、外側面で上皮組織の遮蔽能を、内側面で組織再生能を長期にわたり発揮できることが明らかとなり、歯周組織再生を効率よく誘導する新規の生分解性隔離膜材料として有用である可能性が示された。
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