研究課題/領域番号 |
17K11781
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木林 博之 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (80796011)
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研究分担者 |
中村 隆志 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (20198211)
若林 一道 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (50432547)
矢谷 博文 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (80174530)
酒井 英樹 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (90277830)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 審美歯冠修復 / 光学シミュレーション / セラミックス / レジン |
研究実績の概要 |
歯冠補綴治療において、天然歯に近似した色調・光透過性が求められる。天然歯に近い光学特性を有する歯冠補綴装置を製作するためには、入射した光が歯および歯冠補綴装置の中でどのように振る舞うのかを分析することが重要であるが、今なお歯科医師や歯科技工士の経験によるところが大きい。そのため、コンピュータシミュレーションを用い、光の振る舞いを定量的に解析した。 上顎右側中切歯のTi製およびレジン製支台歯(DC)、二ケイ酸リチウム製(Rosetta)およびハイブリッドレジン製クラウン(HC)を製作し、Rosetta-DC、Rosetta-Ti、HC-DC、HC-Tiの組み合わせで輝度を計測した。 次いで昨年の研究で得られた、セラミックスおよびハイブリッドレジン、Tiの全透過率、全反射率、透過分布、反射分布とクラウンと支台歯の CADモデル情報を、光学解析ソフトウェア (LightTools8.5.0、CYBERNET)に入力後、輝度分布を解析し、実測値とシミュレーション結果を比較した。 加えて、CADモデルにエポキシ樹脂の光学特性データを入力し波長532 nmのレーザー光線を1本照射した際の光線追跡シミュレーションを行った。実測として、シミュレーションと同様の条件で実際にレーザーを照射し,模型内部でのレーザーの伝搬する様子を観察し,シミュレーション結果と比較した. その結果、ハイブリッドレジンクラウンは二ケイ酸リチウムガラスセラミックスクラウンと比較して拡散性が高く、内部で散乱が多く起こり、光が進むにつれて照度が減弱していく様相が認められた。エポキシ樹脂製上顎右側中切歯模型に実際にレーザー照射した際の光線経路に関しては,同様の条件でのシミュレーション結果と同じ光線経路を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度計測を行なった審美歯冠補綴治療に用いられる各種材料の、BRDF(Bidirectional Reflectance Distribution Function)・BTDF (Bidirectional Transmittance Distribution Function)を用い、実際に製作したクラウンと光学的シミュレーション解析を行った結果、相関性の高い結果が得られ、本実験手法としての妥当性を確認することができた。本年度の予定の1つであった天然歯の光線追跡に関しては、天然歯の微細構造に関 するモデルの作成が複雑であり、解析に用いるモデルの作成に至らなかった。現在さらなる検討を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
歯の微細構造モデルを作成し、歯冠モデルへの適用後、光学解析ソフトウェアに本年度の実験で得られた光学特性を入力し解析を行う。歯の微細構造モデルについてはエナメル質や象牙質が複合されたモデルでは解析がまだ難しい状況であるため、エナメル質のみ、もしくは象牙質のみに限定した部位での解析を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析ソフトウェアに関し、歯の微細構造モデルの作成までに至らなかったため、当初購入予定のソフトウェアを購入しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に関しては、天然歯に関する光学的特性を計測、分析するための、材料費、計測費、およおよびソフトウェア購入日に当てる。
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