研究課題/領域番号 |
17K11783
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
溝渕 啓 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (70314838)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 酸化チタン / 光励起反応 / 電気泳動現象 / 本焼結体 / ジルコニアセラミック / 表面粗さ / ダイヤモンド砥粒 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は,各種歯科用材料の加工において,工具折損の生じない工具を開発するとともに,補綴歯科用材料の高加工品位,高加工能率および低加工コストを実現する加工技術の構築である.工具折損の原因は,切りくず処理対策が不十分であるため,工具へ切りくずが凝着し,切れ味の低下により加工力が増加し,工具がこの力に耐えられないからである.本研究期間においては,切りくず処理が工具自身によってなされ,工具折損が生じない歯科材料加工用新工具の開発を行う.平成30年度は,酸化チタン粉末を工具内に混ぜ込み,これに紫外線を照射し光励起反応を利用した切りくず付着の低減・防止を試みた.昨年度に構築した作業現場で簡単に工具を作製できる工具作製システムを用い,同システムで試作した工具で加工実験を行った.本システムは,懸濁液中の粒子が外部電場の力を受けて液体中を移動する現象(電気泳動現象)を利用している.この粒子を電極へ堆積させ,工具の形状を作製するものである.工作物は本焼結ジルコニアセラミック板を用いた.工具の刃部はダイヤモンド砥粒が担う.ダイヤモンド砥粒の保持には生体への影響が少ないアルギン酸ナトリウムを結合剤として用いた.電極(超硬合金製シャフト)に砥粒が堆積し,砥粒同士の結合にアルギン酸ナトリウムが必要である.これらの堆積物が砥石(研磨バー)となる.酸化チタンは硬質材料であるが,ジルコニアセラミックを削り取る能力は小さいと考える.加工実験の結果,酸化チタン+紫外線照射有りの場合と酸化チタン+紫外線照射無しの場合を比較した結果,前者で切りくずの付着状況は抑えられているような結果を得た.また,後者の工具では,加工面に工具へ付着した切りくずによるものと考えられる細かな凹凸が存在してしまい,表面粗さは大きくなった.一方,前者の工具では加工面に細かな凹凸を生じず,表面粗さは小さくなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電気泳動現象を用いた酸化チタン含有の研磨バーの作製および研削性能について検討した結果,光励起反応によると考えられる切りくず付着を抑制する効果が見られた.また,加工後の表面粗さは小さくなり,研磨性能は持ち得ることがわかった.平成30年度の研究計画はほぼ達成できたものと判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究目標は,工具自身が防汚効果を持つ新しい工具を試作することであった.工具作製時に酸化チタンを混ぜ込んだところ,切りくずの付着は抑制されており,工具表面の親水性が向上し,防汚効果が発揮されたと考えている.工具試作の目標は達成でき,工具寿命の延命化に期待がもてる成果を得たが,加工時の不安定性が見られるため,紫外線照射装置を含む実験システムを見直し,引き続き,酸化チタン含有研磨バーを用いた加工実験を実施し,加工環境および工具寿命について検討を行っていく.検討項目は,加工回数の増加や切りくず付着状況の観察などである.加工実験の結果に応じて,工具製作条件の検討を行う.
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