研究課題/領域番号 |
17K11784
|
研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
服部 雅之 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10307390)
|
研究分担者 |
染屋 智子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (60801470)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 三次元造形技術 / 歯科用金属 |
研究実績の概要 |
歯科領域における歯科用金属の成形加工は、歯科精密鋳造法によって確立されてきた。近年のCAD/CAM技術の発展によって、セラミックスやレジン系材料の加工法が劇的に変化しつつあるが、金属材料は未だその域に到達していないのが現状である。積層造形技術の発展により金属粉末による三次元造形法が紹介され、産業界では今後の普及が期待されているが、歯科医療への応用においては、金属材料の選別、造形物の物性、寸法精度など検討すべき問題点も多く、それらを改善することが課題とされている。本研究は、新たな歯科医療技術に適合した金属材料による製作・加工技術を構築することを目的としている。 従来からの歯科鋳造法と積層造形法で製作した試験片の諸物性を比較検討した。金属はコバルトクロム合金を選択し、鋳造法ではコバルトクロム合金(WiroBond SG)、積層造形法ではコバルトクロム合金粉末(SP2)を使用し、それぞれ試験片(各5)を製作した。鋳造法で製作した試験片の引張強さは約680MPa、積層造形法では約1200MPaであった。表面硬さ(ビッカース法)は、鋳造法で約330Hv、積層造形法では約520であった。以上より、引張強さならびに硬さは積層造形法が鋳造法と比較して、約1.5倍高い値を示した。この違いは、造形法の違いにより金属組織の構造が大きくことなることが要因であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は既存の歯科用金属であるコバルトクロム合金について、歯科鋳造法と積層造形法の違いによる物性を検討した。既存品を使用することで、加工による条件設定の見直しが不要であったため、おおむむ順調に進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度では、既存金属としてチタン合金(Ti-6Al-4V合金)や試作チタン合金による造形試験片の製作を試みる。特に試作合金では、加工条件設定の新規検討が必須であることから装置を含め、詳細な検討が必要となってくる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
金属粉末購入のための経費を計上していたが、特別注文品であり年度内の納入が困難であったため、繰越金が発生した。次年度分の金属粉末購入分と併せて、使用予定である。
|